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かつてのヲタたちはお元気だろうか?2024/6/12
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「うっ!!」
後を追って来た一人の魔導師が放った矢が、左の腕をかすっていた。

ウォルシアは、冷徹な微笑を浮かべ、地に膝をついたエッジを見下ろす。
「重ね重ね、お見事ですな…あの者は弓の名手。心臓を貫く矢筋だったものを…」
「とことん…汚ねぇ手を使うな…」

徐々に、左腕がしびれる。
かすったとは言えおそらく仕込まれていたのは猛毒だろう。
「まぁ、お静まり下さい。私はあなたの命までは頂こうと思っておりません。私が欲しいのは―――あなた様が継ぐべき王位。どうでしょう?取引は?」
ウォルシアは懐から小さい瓶を取り出し、エッジの前に掲げた。
「解毒剤はここにあります。貴方の刀と引き換え、と言うのは?エブラーナの戦士にとって、刀は命。それをお渡し下さい。私の持っている王勺と合わせ、王家の刀の変わりに王位の印にいたしますよ。」
「ふざけるな…」
 
呼吸が乱れるのは、毒のせいか、激しい怒りのせいか。エッジは震える手で、隠していた懐刀を右手に握り締めた。だが、余程の近間で隙を見せない限り、小さな刃でこの男を貫くのは難しい。
だが、この男に自分を生かす気は無いだろう。
「…ならば果てる事ですな。とどめは刺しません。見届けて差し上げますよ。あなたのご選択ならば、致し方ない―――ご安心なさい。」
男は屈みこみ、エッジの髪を掴んで引き上げた。
「あの美しい方…あなた様の翡翠の姫君は、この私の側室として、この国に残って頂く。噂では大きな力をお持ちの召喚士。是非、如何なる手段を使っても、我が意のままになる様にせねばなりませんからな―――」
 
「な…に…?」
一瞬の間に湧きあがった強烈な不快感。
だが、言葉の意味が一瞬理解できなかった。
この男がリディアをかこい者にする、と言う事。自分の野望に利用すると言う事。どの様な手段を使っても。
 
―――意のままなる様に…だと!?

その言葉の意味に気がついた時一気に、エッジの怒りが爆発し、全身の血が逆流する様な感覚に、僅かの間、猛毒の効果は力をなくしていた。
 
「てめぇ!!!」
エッジは懐刀を男に一閃し、なぎ払うと、次に自らの左手の傷口に刺す。鮮血が流れ出し、痛みと共にエッジの意識をゆり戻した。
「何!?」
そのまま懐刀を魔導師の方に投げつけると、魔導師は悲鳴を上げて倒れた。
「てめぇみたいな薄汚ねぇ外道には渡さねぇ!リディアを!この国を!!」
 
思わぬ反撃に腿に傷を負った男は、怒りの声を上げ刀を振り下ろした。
さすがのエッジも右手だけでは避けきれず身体を崩し、地面についた左腕は力を失っていた為完全に体を倒してしまう。顔を上げた時既に男はエッジの頭の上に立ち、刀を構えていた。
 
身をかわそうにも既に至近距離。エッジの背筋に寒気が走る。既に男の刃先は自分の胸元に向けられていた。
確実な死の感覚が、エッジの胸によぎる。
男は勝利を確信したのか、冷徹な中にも恍惚とした面持ちで、エッジの凍りついた表情を見つめていた。
 
―――これまでか…
 
「さらばだ、エブラーナ王子よ!!」
男が刀をエッジの胸に突き立てようとした瞬間。
 
不意に、二人の間に幾つもの光の筋が走った。
 
――― !!
 
それは男の周りを回り、必死にエッジから引き離そうとしている。
「な、何!?」
その内一本の筋がエッジの傷口にまとわると、妖精の姿を現し、見る間に腕の痺れは消えていった。

「シルフ―――!?まだ、居てくれてたのか!」
繊細な自然霊であるシルフは、血なまぐさい、戦士達が武器を合わせる場には、僅かの間にしか降りられない。だがそれでも彼女達は、最大の危機に陥ったエッジを助けると言う命令を忠実に実行したのだ。
男は何が起こっているのか判らず、まとわりつく光を必死に振り払っている。
 
エッジは礼を言い立ち上がると、視界をふさがれ逃げ惑う男に駆け寄った。
「覚悟しやがれ!!エブラーナの面汚しが―――!!」
 
その刀は最上段に構えられ、男の首筋に叩きつけられた―――
 
遠くで、近衛兵隊長がエッジを呼ぶ声がした。本隊の先頭が追いついたのだ。
  
 
[101日目のプロポーズ 4]
 

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「うっ…ぐっ…はぁっ!」
「!?トマス!!どうした!!」
突然、くないを受けたトマスが身を仰け反らせ血を吐き出したのだ。
「毒!?」
 
手段を選ばない。
かつてエブラーナの兵法にはその様な事が書かれていたが、常に命を奪うと言う前提は、時代にそぐわないと遥か前に封印された。
「…許さねぇ…!!!」
エッジの中に、エノールの街で軍が受けた屈辱がよみがえる。
 
「エブラーナ伝統の兵法を、時の流れに変える必要はない。卑怯者とは誉れよ!」
急を告げようと兵の一人が角笛を出した時、男の後ろに控えていた兵が矢を放ち、笛を砕いた。それと同時に黒衣の一群も刀を抜き、その中の半数近い男たちは杖を構える。
「たったそれだけの人数で、この数の魔導師に勝算はあるまい!!他も皆、エブラーナ古式忍術の精鋭、なまりきった王族など、無力と思い知れ!!」
「若様!!」
近衛兵隊長が駆け寄る。
 
「先をお急ぎ下さい。我らとて精鋭忍者の近衛兵、引けはとりませぬ!!」
「そう言うの、なんて言うか知ってるか?寝言は寝て言えって言うんだよ!」
大柄で屈強な近衛兵隊長に、エッジは片目をつぶって合図する。
「だがお前らに雑魚は任せた!俺はあの男をとケリをつける。頼んだぞ!お互い必ず、生きて帰ろうな!!」
「若様…武神の加護を!!」
 
近衛兵隊長とて同じだった。エブラーナ近衛兵の任務に誇りを持っているからこそ、王族を騙るこの男は到底許せるものではない。
隊長は兵に、他には聞こえぬ様に令を出した。
「武器には毒が仕込んである、敵は手段を選ばぬ輩だ。情けをかけるな!!」
エッジと男は既に2、3刀を交えている。兵隊長は他の兵、魔導師の攻撃からエッジを守る様に、二人を背にして刀を抜いた。
「王族を騙る不届き者だ!!叩き潰せ、エブラーナの戦士よ!!」
近衛兵隊長の声が、朝の山中にこだました。
 
エッジと銀髪の男は、未だ薄暗い木々の間を渡る様に、時に接近し、時に武器を投げ合いながら互いの力を図っていた。
「はぁっ!!」
男は、エッジが刀の連撃の最中に繰り出した蹴りを避けると、一気に間合いを詰め、仕込み刀の突きを繰り出した。間一髪逃れるも素早い動き。古式の忍術を体得している。廃王の末裔と言うのは本当かも知れない。


――― 生け捕れる相手じゃないかもしれない。


しかしそれとて、国を滅ぼすと追われた者だ。
 
「ほう…さすがに奥義を受け継ぐと言われている王子!お見事な腕だ!!」
「は!こそこそろくでもねぇ事考えるよーな、うつけモンとは違ぇんだよ!」
ウォルシアは醜く唇を歪めて笑う。
「フッ…絶対唯一であるエブラーナの王家の血こそ、世界を統べるのにふさわしい!!国の…王族の血の誇りを忘れ果てた者どもに成り代わり、崇高な理想を実現するまでよ!!」
 
一瞬、背筋が凍りつく感覚がエッジに走る。男の世界は、完全に閉じている。
「それが…お前の理想か!!滅んだ奴らは、皆同じ様な事ぬかすな!!」
国を守る為、自国の誇りを歪めた形で蔓延させた国は歴史に幾らでもある。その行く末は、国の荒廃以外に無い。
 
―――負けられない。この男には!
 
負ける事はこの男が玉座に座る事。
その結果国を荒廃させ、世界に恥をさらし、エブラーナの尊厳を貶める事だ。乱世が終わり、小さいながらも平和な生活を送っているこの国の人々を。
エッジとウォルシアは木々の間を駆けながら、兵達の戦場と離れ進み、ついには頂上と思しき平野にたどり着き、合間見えた。
 
ここから東は、エブラーナ城の直轄領地だ。
エッジは一瞬後方を見やり、朝日に照らされた城の方角に異常が無い事を確かめた。
 
「ここから先は…行かせねぇぜ。」
「…よい景色ですな。あなたのこの世の見納めには。」
「ほざけ!!てめーにそのまま返してやるよ!!」
再び刀が突き合わされ、両者は離れる。
 
エッジの脳裏には、先ほどから一つの疑問があった。この男は、火遁等と言う忍術を体得しているのだろうか。
これだけの体術の応酬では、忍術を使うのは隙を作る事になるだろう。とは言え、南側は緩やかな崖になっている。うかつに南に背を向けると想定外の忍術の攻撃を食らい、転落するかもしれない。
エッジがウォルシアの横に間合いを縮めようと飛ぶのと、ウォルシアが気合を一閃するのは同時だった。
 
「砕破!!」
 
途端にエッジのいた場所から、小さな爆発が起こる。
 
―――!!
 
「忍術は、こう言った形もあるのですよ。私達には煙玉の術はこう伝わっております。逃げる為の術ではなくね…」
 
―――何てヤツだよ…
 
今の爆発は、まともに当たれば足が吹き飛んでいたかもしれない。
「ハァッ!!」
男は気合と共に、次々に小さな爆発を起こす。
火遁、雷迅、煙玉の融合術。最初は危うかったが、初動動作を見切った後は難なくかわし、エッジは間合いをつめようと飛び上がった。
 
―――!!
 
その時。視界の端に黒いローブの影をが走る。
その者の腕に小弓が見えた時、エッジは既に避けきれない空中に居た。反射的に体勢を変え、身を反らせたが、瞬間に痛みが腕を貫いた。
 

[101日目のプロポーズ 3]  
 

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第3章 101日目のプロポーズ
 

エッジの一隊は、夜明けと共に出発した。
朝方は冷え込んでいるが、これほど夜が明けるのを待ち遠しいと思った事はない。
 
―――エブラーナ城は、どうなっているんだろうか…
 
はやるばかりだったが、とりあえずは皆が無事と言う事で、僅かながら心の平安を保っていられた。それがなければ闇夜であれ、遮二無二馬を進めてしまいよほどの危険な目にあったかもしれない。
街道の整備された低い山ではあるが、隣に連なった山から川が流れ、小さな谷もあり馬を進めるには慎重な手綱さばきも必要だ。
 
時間がかかっても、平地で夜明けを待った方がいい。
 
そして、それを選んだエッジの変化は近衛兵達にも伝わっていた。
 
「…若様は、今回は落ち着いていられるな…」
「ああ。下手をすれば昨日の夜、駆け出していかれるかと思ったが…」
 
こっそりとそんな事を口走る兵達には、『大切なお客さん』の存在、玄関でエッジを出迎えた美しい女性の影が見えている。
「この戦を終えれば、若様の婚礼も叶うかもしれん。頑張らねばな。」
 
洗練された近衛兵達にとって、若く、正義感強く熱い王子は、仕える主であると同時に見守る様な部分もある存在だった。ルビガンテとの戦の時、誰が止めるのも聞かずに一人、王と王妃の敵を討ちに死に急いだエッジ。
その頃よりも格段に成長した姿を、今は目の当たりにしている。
 
夜明けの空に、二発の花火が上がった。
離れて野営していた本隊が、出発した合図。エッジは兵士達に向き直る。
「進みながら合流する。こちらは一気にエブラーナへ向かうぞ。」
「はっ。」
 
まだ微かに闇は鈍り始めた位だが、徐々に広がりつつある視界。
誰が命じる訳でもなく、一同の進みは早まって行く。
 
最悪篭城で持ちこたえられない訳でもない。ルビガンテの戦で破壊されたエブラーナ城の城壁だが、今は鉄壁の守りを誇る。しかし外で戦っている兵士の戦況は。
  
「エッジ様…」
 
近衛兵隊長が、静かにエッジの隣に馬を進めた。無言で示す方を見ると、遠間に同じ人数ほどの旅人の一群が、こちらへ馬を進めているのが見えた。
「旅人、か?こんな朝早くに…武装はしていない様だが…」
エッジはフードを被り、ハヤテの鞍飾りを隠すと、隊を横へと寄せる。他の兵もエッジに習い近衛兵の印を隠し、道を空け静かに馬を進めた。
 
旅人の一団は一見するとみすぼらしい黒のローブを被っていたが、その表情はうかがい知る事は出来ない。
先頭の男がすれ違い様に、道を明けた礼を会釈であらわし、通り過ぎた。
 
しかし、何処か自分を見すえる様な視線、空気―――
一瞬交わした目線に、僅かに自分と同じ瞳の色が見えた瞬間。エッジが静かに刀の柄に手をかけるのと同時に、男は背後から声をかけた。
 
「お初お目にかかります。エドワード・ジェラルダイン殿下。」
 
一瞬、近衛兵に緊迫した空気が漂う。
エッジは馬の向きを変え、男に向き直った。
「…誰だ?こんな朝早くに会う様な知り合いはいねぇがな。」
なおも男は静かに語りかけた。
「先ほどの陣営で、お怪我の為足止めされている、とのお話―――敵を欺く為の偽りでしたとは。」
「…俺が、ボムごときにやられると思ったのか?」
 
男は、2、3歩馬を進め、エッジの方に向き直り。後方の近衛兵が武器を構えても一向に意に介さず、ローブの下からエッジに鋭い視線を投げかけていた。
「無駄足にはなりましたが―――お陰で、直接お会いできる事が出来た。光栄であります。あなたとこうして、お話する事が出来るのが―――」
更に近寄る男を、近衛兵二人が阻む様に前に立つ。
「貴様!!何者だ!!」


「兵士ごときに名乗る名はない。」
男が目にも留まらぬ速さで腕を振ると、矢をつがえていた近衛兵が肩を押さえ馬から落ちた。
「うあっ!!」
近衛兵ですら見切れない一瞬の動きだった。肩には根元まで小型のくないが刺さり、うめき声をあげる。
「トマス!!」
若い近衛兵は地面に叩きつけられそうになりつつも、かろうじてバランスを取り、エッジの足元に膝をついた。
エッジはトマスを隠す様に馬を前に進め、再び男に向き直った。
 
「本物の前で名乗れねぇなら答えてやるよ。ニセ王族、ウォルシアさんよ!!」
「その通り―――エドワード・ジェラルダイン!いざ尋常に、勝負されよ!!」
 
その言葉と同時に、男の手から再びくないが投げられる。エッジは馬から宙へ飛び、身を翻して着地と同時に抜刀した。
 
近衛兵達も臨戦態勢に入り身構える。男はローブを脱ぎ捨て、その面を始めてエッジに明かした。険しさが刻まれた表情ではあるが、まだ壮年にかからない男。自分に似た銀髪、だが殺気立った目は明らかに別の物だ。
 
 [101日目のプロポーズ 2]
 

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プロフィール
HN:
tommy
性別:
非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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