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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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「うっ…ぐっ…はぁっ!」
「!?トマス!!どうした!!」
突然、くないを受けたトマスが身を仰け反らせ血を吐き出したのだ。
「毒!?」
 
手段を選ばない。
かつてエブラーナの兵法にはその様な事が書かれていたが、常に命を奪うと言う前提は、時代にそぐわないと遥か前に封印された。
「…許さねぇ…!!!」
エッジの中に、エノールの街で軍が受けた屈辱がよみがえる。
 
「エブラーナ伝統の兵法を、時の流れに変える必要はない。卑怯者とは誉れよ!」
急を告げようと兵の一人が角笛を出した時、男の後ろに控えていた兵が矢を放ち、笛を砕いた。それと同時に黒衣の一群も刀を抜き、その中の半数近い男たちは杖を構える。
「たったそれだけの人数で、この数の魔導師に勝算はあるまい!!他も皆、エブラーナ古式忍術の精鋭、なまりきった王族など、無力と思い知れ!!」
「若様!!」
近衛兵隊長が駆け寄る。
 
「先をお急ぎ下さい。我らとて精鋭忍者の近衛兵、引けはとりませぬ!!」
「そう言うの、なんて言うか知ってるか?寝言は寝て言えって言うんだよ!」
大柄で屈強な近衛兵隊長に、エッジは片目をつぶって合図する。
「だがお前らに雑魚は任せた!俺はあの男をとケリをつける。頼んだぞ!お互い必ず、生きて帰ろうな!!」
「若様…武神の加護を!!」
 
近衛兵隊長とて同じだった。エブラーナ近衛兵の任務に誇りを持っているからこそ、王族を騙るこの男は到底許せるものではない。
隊長は兵に、他には聞こえぬ様に令を出した。
「武器には毒が仕込んである、敵は手段を選ばぬ輩だ。情けをかけるな!!」
エッジと男は既に2、3刀を交えている。兵隊長は他の兵、魔導師の攻撃からエッジを守る様に、二人を背にして刀を抜いた。
「王族を騙る不届き者だ!!叩き潰せ、エブラーナの戦士よ!!」
近衛兵隊長の声が、朝の山中にこだました。
 
エッジと銀髪の男は、未だ薄暗い木々の間を渡る様に、時に接近し、時に武器を投げ合いながら互いの力を図っていた。
「はぁっ!!」
男は、エッジが刀の連撃の最中に繰り出した蹴りを避けると、一気に間合いを詰め、仕込み刀の突きを繰り出した。間一髪逃れるも素早い動き。古式の忍術を体得している。廃王の末裔と言うのは本当かも知れない。


――― 生け捕れる相手じゃないかもしれない。


しかしそれとて、国を滅ぼすと追われた者だ。
 
「ほう…さすがに奥義を受け継ぐと言われている王子!お見事な腕だ!!」
「は!こそこそろくでもねぇ事考えるよーな、うつけモンとは違ぇんだよ!」
ウォルシアは醜く唇を歪めて笑う。
「フッ…絶対唯一であるエブラーナの王家の血こそ、世界を統べるのにふさわしい!!国の…王族の血の誇りを忘れ果てた者どもに成り代わり、崇高な理想を実現するまでよ!!」
 
一瞬、背筋が凍りつく感覚がエッジに走る。男の世界は、完全に閉じている。
「それが…お前の理想か!!滅んだ奴らは、皆同じ様な事ぬかすな!!」
国を守る為、自国の誇りを歪めた形で蔓延させた国は歴史に幾らでもある。その行く末は、国の荒廃以外に無い。
 
―――負けられない。この男には!
 
負ける事はこの男が玉座に座る事。
その結果国を荒廃させ、世界に恥をさらし、エブラーナの尊厳を貶める事だ。乱世が終わり、小さいながらも平和な生活を送っているこの国の人々を。
エッジとウォルシアは木々の間を駆けながら、兵達の戦場と離れ進み、ついには頂上と思しき平野にたどり着き、合間見えた。
 
ここから東は、エブラーナ城の直轄領地だ。
エッジは一瞬後方を見やり、朝日に照らされた城の方角に異常が無い事を確かめた。
 
「ここから先は…行かせねぇぜ。」
「…よい景色ですな。あなたのこの世の見納めには。」
「ほざけ!!てめーにそのまま返してやるよ!!」
再び刀が突き合わされ、両者は離れる。
 
エッジの脳裏には、先ほどから一つの疑問があった。この男は、火遁等と言う忍術を体得しているのだろうか。
これだけの体術の応酬では、忍術を使うのは隙を作る事になるだろう。とは言え、南側は緩やかな崖になっている。うかつに南に背を向けると想定外の忍術の攻撃を食らい、転落するかもしれない。
エッジがウォルシアの横に間合いを縮めようと飛ぶのと、ウォルシアが気合を一閃するのは同時だった。
 
「砕破!!」
 
途端にエッジのいた場所から、小さな爆発が起こる。
 
―――!!
 
「忍術は、こう言った形もあるのですよ。私達には煙玉の術はこう伝わっております。逃げる為の術ではなくね…」
 
―――何てヤツだよ…
 
今の爆発は、まともに当たれば足が吹き飛んでいたかもしれない。
「ハァッ!!」
男は気合と共に、次々に小さな爆発を起こす。
火遁、雷迅、煙玉の融合術。最初は危うかったが、初動動作を見切った後は難なくかわし、エッジは間合いをつめようと飛び上がった。
 
―――!!
 
その時。視界の端に黒いローブの影をが走る。
その者の腕に小弓が見えた時、エッジは既に避けきれない空中に居た。反射的に体勢を変え、身を反らせたが、瞬間に痛みが腕を貫いた。
 

[101日目のプロポーズ 3]  
 

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tommy
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非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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