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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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「うっ!!」
後を追って来た一人の魔導師が放った矢が、左の腕をかすっていた。

ウォルシアは、冷徹な微笑を浮かべ、地に膝をついたエッジを見下ろす。
「重ね重ね、お見事ですな…あの者は弓の名手。心臓を貫く矢筋だったものを…」
「とことん…汚ねぇ手を使うな…」

徐々に、左腕がしびれる。
かすったとは言えおそらく仕込まれていたのは猛毒だろう。
「まぁ、お静まり下さい。私はあなたの命までは頂こうと思っておりません。私が欲しいのは―――あなた様が継ぐべき王位。どうでしょう?取引は?」
ウォルシアは懐から小さい瓶を取り出し、エッジの前に掲げた。
「解毒剤はここにあります。貴方の刀と引き換え、と言うのは?エブラーナの戦士にとって、刀は命。それをお渡し下さい。私の持っている王勺と合わせ、王家の刀の変わりに王位の印にいたしますよ。」
「ふざけるな…」
 
呼吸が乱れるのは、毒のせいか、激しい怒りのせいか。エッジは震える手で、隠していた懐刀を右手に握り締めた。だが、余程の近間で隙を見せない限り、小さな刃でこの男を貫くのは難しい。
だが、この男に自分を生かす気は無いだろう。
「…ならば果てる事ですな。とどめは刺しません。見届けて差し上げますよ。あなたのご選択ならば、致し方ない―――ご安心なさい。」
男は屈みこみ、エッジの髪を掴んで引き上げた。
「あの美しい方…あなた様の翡翠の姫君は、この私の側室として、この国に残って頂く。噂では大きな力をお持ちの召喚士。是非、如何なる手段を使っても、我が意のままになる様にせねばなりませんからな―――」
 
「な…に…?」
一瞬の間に湧きあがった強烈な不快感。
だが、言葉の意味が一瞬理解できなかった。
この男がリディアをかこい者にする、と言う事。自分の野望に利用すると言う事。どの様な手段を使っても。
 
―――意のままなる様に…だと!?

その言葉の意味に気がついた時一気に、エッジの怒りが爆発し、全身の血が逆流する様な感覚に、僅かの間、猛毒の効果は力をなくしていた。
 
「てめぇ!!!」
エッジは懐刀を男に一閃し、なぎ払うと、次に自らの左手の傷口に刺す。鮮血が流れ出し、痛みと共にエッジの意識をゆり戻した。
「何!?」
そのまま懐刀を魔導師の方に投げつけると、魔導師は悲鳴を上げて倒れた。
「てめぇみたいな薄汚ねぇ外道には渡さねぇ!リディアを!この国を!!」
 
思わぬ反撃に腿に傷を負った男は、怒りの声を上げ刀を振り下ろした。
さすがのエッジも右手だけでは避けきれず身体を崩し、地面についた左腕は力を失っていた為完全に体を倒してしまう。顔を上げた時既に男はエッジの頭の上に立ち、刀を構えていた。
 
身をかわそうにも既に至近距離。エッジの背筋に寒気が走る。既に男の刃先は自分の胸元に向けられていた。
確実な死の感覚が、エッジの胸によぎる。
男は勝利を確信したのか、冷徹な中にも恍惚とした面持ちで、エッジの凍りついた表情を見つめていた。
 
―――これまでか…
 
「さらばだ、エブラーナ王子よ!!」
男が刀をエッジの胸に突き立てようとした瞬間。
 
不意に、二人の間に幾つもの光の筋が走った。
 
――― !!
 
それは男の周りを回り、必死にエッジから引き離そうとしている。
「な、何!?」
その内一本の筋がエッジの傷口にまとわると、妖精の姿を現し、見る間に腕の痺れは消えていった。

「シルフ―――!?まだ、居てくれてたのか!」
繊細な自然霊であるシルフは、血なまぐさい、戦士達が武器を合わせる場には、僅かの間にしか降りられない。だがそれでも彼女達は、最大の危機に陥ったエッジを助けると言う命令を忠実に実行したのだ。
男は何が起こっているのか判らず、まとわりつく光を必死に振り払っている。
 
エッジは礼を言い立ち上がると、視界をふさがれ逃げ惑う男に駆け寄った。
「覚悟しやがれ!!エブラーナの面汚しが―――!!」
 
その刀は最上段に構えられ、男の首筋に叩きつけられた―――
 
遠くで、近衛兵隊長がエッジを呼ぶ声がした。本隊の先頭が追いついたのだ。
  
 
[101日目のプロポーズ 4]
 

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プロフィール
HN:
tommy
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非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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