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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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『   ―――ローザへ
 
ローザ。
お陰で無事、エブラーナは危機を乗り切る事が出来た様です。
本当にありがとう。魔導師を派遣してくれた事も勿論、ローザが私に勇気を与えてくれました。
これから色々、反乱勢力の首謀者・魔導師の事、また少数民族の自治の事、国内の被害の事で色々あるけど、エッジと皆は一丸となって乗り越える、と張り切っています。
 
―――私は…
 
正直ね、色々迷っているんだ。
実はミシディア長老から知らせが来て、幻界は私が、戦に巻き込まれた事をとても心配している様だ、って言うの。
人間界に滅多に関わりを持ちたがらない幻界から、そんな知らせが来るなんて…
あと、この戦いで私はすっかり“エッジのお妃様”みたいになってしまったの。皆の力になりたい、って頑張って受けたんだけど、色々な事がありすぎて、急に不安になっちゃって…
 
幻界の皆にも、心配かけてるのに黙ったままでいいのかな、とか、でも今エブラーナを離れたらいけない様な気もするし…
 
う~~ん。どうしていいのか判らない。
 
ローザ、私、どうしたらいいんだろう?
 
 
                         ―――――リディア 』
 
 
 
 
 
『  ―――エブラーナ王子正妃候補 様 (…早いかしら?)
 
 
エブラーナの内乱が沈静化した事、心からお喜び申し上げます。
色々悩んでいる様ね。えーと、つまり…マリッジブルーかしら?(にっこり) あなた達程、お似合いの二人も居ないと思うけどな?
 
…って事はさて置いて…
 
たくさん、考え事があるようね。無理もない。でも…
 
でも、そうね。色々な悩みよりもまず一番に、あなたがどうしたいのか、って言うのをはっきりしないと、エッジもエブラーナの人々も、幻界のご両親やお友達も困ってしまうと思う。
 
じゃあまず、エッジと一緒に居てもいい?幻界に帰りたい?何処にあなたは居たいのかしら。いいえ、それとも、バロンで魔導師の仕事をしてみたい?(歓迎するわよ。勿論!)
何があなたを迷わせているのかしら?
 
エッジの傍に居たいけど、幻界が心配なら、一度帰ってきちんと王と女王に話をすればいい。逃げる事でも、おかしな事でも何でもない。
成り行きでエッジの傍に居たけど、本当は幻界で暮らしたいなら、そうエッジに言わないと。本当にあなたが望んだ選択なら、それは仕方ないと思います。
 
 
―――リディア。
 一人で悩まないで、あなたを愛してくれている皆に、そしてエッジに相談して下さい。
彼はあなたを戦の一切に関わらせない事も出来た。民の為だけにあなたに王妃の役をお願いする程、弱い男ではないと思います。あなたへの信頼と取って間違いないでしょう。そしてあなたも、エブラーナの人々の為だけに、その役を受けたのかしら?
 
不安になるって言うのは、誰でもある事です。
新しい道に踏み出す時や、誰かを、心から愛した時には特にね。
 
リディア。あなたの幸せを、心から祈っているわ
 
 
 
       
                            ―――ローザ 』


[101日目のプロポーズ 7] 

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「勝った―――エッジが、勝ったんだね!!」

勝利を告げる城壁の鐘が鳴り響いた。兵達の勝どきの声を聞きながら、リディアは女官2人と抱き合って喜び合った。
 
「皆、本当に良かった!!」
「リディア様のお力あってこそですよ!!」
顔を上げ、身を翻して駆け出すリディア。二人は急いで、その後を追いかける。
「エッジを迎えに行ってくる!!」
「あ…お迎えの用意…ってそんな状況じゃないわ。行きましょカレン。」
「そーね!何してもいいって声が今、天から聞こえた、以上!!」

家老は回廊を猛スピードで通過する三人を必死で呼び止めたが、全く気付かず走り去る。中庭を通り過ぎ、街の人の避難場所となった城門までの庭園にたどり着くと、ここでも人々は手を取り合い、抱き合って喜んでいた。

途中、馬で城に向かってきたオルフェと鉢合わせ、やっとの事で追いついた家老と輪になって無事を喜びあった。
「リディア様―――エブラーナ軍、完全勝利でございます!!」
オルフェの目にも涙が浮かぶ。
「良かった!!本当に良かった―――!!」
「っと…リディア様…それは?」
 
しかしふと、オルフェはリディアの手に握られた杖を見て声を上げた。  
そう言えば、とリディアも手にしていたものに目を落とすと、黒塗られた塗装ははげ落ち、所々亀裂が入っている。
「これ、玄関に飾ってあったのを借りちゃったんだ。壊れちゃったな…」
「リディア様…ではこれは、エブラーナ城にあったのですか…?」
オルフェの視線の先には、小さな杖には不似合いな大きな先端。そこもひびが入っていたが、よく見ると中から鮮やかな翠色がわずかにのぞいていたのだった。

「何かな、これ。」
手でひびの入った先端をつまんで取り除くと、握りこぶしほどもある、龍の模様の施された翠色の珠がリディアの手に零れ落ちる。
「こんなのが入ってたんだ。頭でっかちだと思ったよ。」
家老が目を見開く。
「リ…リディア様…まさかそれは…お…王位の宝珠では!?」
「へ…?」
手の平の中でそれは穏やかに光を放っていたが、やがて静かにその光を内に秘める様に収まって行った。だがリディアは驚く様子も無く、そうなんだと頷くと、家老にぽん、と鮮やかな宝珠を渡したのだった。
 
「じゃあ、大切なものなんだね!家老さんから、エッジに渡して下さい!!」
「ひ、ひぇええええええ~!!!」
 
リディアはかまわず駆け出し、女官もそれに続く。オルフェは笑いながら、家老に布の袋を差し出した。
「本当にエブラーナの王位の宝珠なら…リディア様のお手に戻られたのも、何かのご意思かもしれませんね。」
「まぁなぁ…ワシは判ってはいたんじゃよ。オルフェ…あの方と知り合われてからの若の変化に気がつかぬ程、ワシも馬鹿ではない…じゃが、老婆心ならぬ、老爺心でな…」
家老は少しだけ気の抜けた、ともすれば寂しそうな表情を一瞬浮かべたが、黙って頷いたのだった。

「参りましょう。エッジ様のご帰還です。」

王宮前の広場には、どこからともなく街の人が集まり、大通りを進むエッジの隊を待ち構えていた。
隊の中ほど、馬に乗せられ頭からローブを被せられた男に、人々は口々に謀反人、反逆者と罵声を浴びせたが、男の乗せられた馬には兵の警護がついていた為に暴動には至らなかった。

しかし、王宮の方から飛び出してきた一人の少女を見た者達から、にわかにざわめきが起こる。

―――やっぱり、あの方だよ!!
―――本当だったんだ…

隊列の先頭が王宮前の広間に差し掛かると、先頭の男は乗っていた馬をひらりと舞い降りて、真っ直ぐに駆けて行った。
「若様!!その…民の前ですぞ!!その辺は程ほどに…って若様!!」
控えていたガーウィンが申し訳程度の静止をするが、男は足を止めなかった。
 
「エッジ…!!!」
少女はその男の姿を見つけると、同じく真っ直ぐに駆け出した。二人は広場の中央で出会い、少女は涙で目をはらし、男は少女を抱き上げて再会を喜んだ。
「エッジ!!!エッジ――――!!!」
「リディア!!!」

それを見ていた人々のざわめきは大きな歓声となり、広場を埋め尽くしてゆく。

―――よかった、エッジ、本当によかった!!

エッジは歓声の中、リディアを抱きしめていたがその手を離し、小さな顔をまじまじと見つめた。
「な、何よぉ!!」
「いやぁ、おめーやっぱり、その方がいいわ!面倒くせぇ出迎えよりな!!」
エッジの刀を受け取った事を思い出し、それだってあんたの差し金じゃない、と言おうとした時。

「じゃ、おし、早速ご褒美を頂くぜ!!」
いきなり自分の唇に乱暴に喰い付きかけたエッジに、リディアは目を丸くする。
「ななな、何すんのよ!!こんな所で―――!!!」
全力の突き飛ばしに、ふらふらとよろめくエッジの身体。

「リ…リディア様…」
その場の皆が目を丸くするものの。二人は既にいつもの言い争いに入っている。
「いてーなてめー!王子様への反逆罪だ!一生俺の傍に拘束の刑~~!!」
「冗談じゃないわよ!!あんたの方こそずるいじゃないの!?」
「なにぃ~!?約束破りはずるくねーのかよっ!!」
 
間近に迫ったエッジの顔には幾つもの傷が残る。リディアは思わず手を伸ばしそうになったが、口をへの字のまげてその頬を押さえた。


「え、えええ、えーいっ!!!!」
気合と共に繰り出されたのは、固く唇を結んだリディアの口付けだった。鼻がぶつかり、いでっ、と声を上げたエッジは、途端に満面の笑みに変わる。
「うわ~!!俺もう死んでもいいわぁ!!!」

「わ…若様ぁ~…」
近衛兵隊長にも何者かが忍び寄る。その大きな影はいきなりガーウィンを背後から羽交い絞めにした。思わず兵士達は飛び退る。
「あんた!無事だったんだね!実家爆発しちまったよ!でもあたしは無事だよ!」
「ゴ、ゴモラ!!良かった…って、部下の前だぞ、止めてくれ!!く、苦し…い…」

半ば家来達は呆れ果てたが、にぎやかな騒ぎの波は、夜まで延々とエブラーナを歓喜の渦に巻き込んでいたのだった―――
 






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朝、エブラーナ城壁付近で、開戦を知らせる笛が響き渡った。
 
「―――いよいよ、始まりです。」
女官達、そして家老がリディアの脇に従い、最上階のバルコニーで外の様子を見守っていた。先日の様な不意打ちとは違い、今度は互いに陣を構えた体制での戦い。城下への魔法攻撃も封じた。中にはミシディアから派遣された魔導師も居る。
十分に持ちこたえる力はある。だが、指揮官不在のまま、勝利を収めるのは難しい。
一刻も早いエッジの帰還は、国中の者達の望みだった。
 
「エッジ様がお戻りになるまでは、なんとしても…」
壊滅と言う事態はひとまず避けられたものの、安心は出来ない。心配性の家老は目が覚めてからずっと、何やらぶつぶつと呟いていたが、ふとリディアの手元を見て声を上げる。
「…リディア様、その杖は?まさかご出陣されるつもりではありませんな!?」
「えっ!!だ、大丈夫ですよ!!」
リディアと、女官2人も一瞬身を震わせ、持っていた杖を後ろ手に隠す。
「ならばよろしいのですが、くれぐれもご無理はなさらんで下さいまし!!」
 
そういい残し、家老は城内の守りを確認する為に立ち去った。
 
「よかったぁ…ばれたのかと思った…」
 
実は今もっているリディアの杖は、自分の物ではなかった。
持ってきた小杖はオルフェに渡したまま、彼は出陣してしまった。魔力を増強する杖等の法器が無くとも、指先で印を作る事で、魔法や召喚獣を呼ぶ事は出来るが、あるに越した事はない。そんな訳で、城の中を何か変わりになる物を探していた時、迎えの間にある守護神の像に目が行った。
 
二つの像の背の壁にかけられた沢山の武器の中、辛うじて見える一番上の段に一つ小振りの杖があったが、忘れ去られていたのか、黒い塗りが古く剥がれていたそれは、手を伸ばす前にリディアの手元に落ちてきたのだ。
勿論、古い時代に異国の芸術品として作られたもので、本格的に法器として使える代物ではない。
「それでも…とりあえず、今だけ借りようか…」
とそのまま持って来た、と言うのが事の次第。
しかし、王宮の骨董品である事を思えば、家老には隠しておく方が無難だろう。
 
所々で、兵士達の叫び声と爆音が聞こえる。
「あ!!あそこ…右翼から投石が来た!!」
「大丈夫ですわ。あの距離では、城壁には届きません。陣の背後に弓兵団も回っています。」


3人は遠眼鏡を奪い合う様に最上階から戦況を見守った。やはり少数とは言え援軍の力は大きく、じりじりと反乱軍は城から遠ざけられる。昼も近い頃、近郊より騒ぎを聞きつけた同盟部族の友軍が駆けつけ、戦況は有利に運びつつあった。
 
「あっ!?」
不意に、西方を見ていたカレンが、遠眼鏡を手に二人を手招きする。
「リディア様―――!!あちらをご覧下さい!早くこっちへ!!」
「カレン、あなた遠眼鏡リディア様に渡さないと!」
指差された西の方を見渡すと、彼方にかすかに、猛スピードでこちらへ向かう一群があった。
 
徐々に隊の到着を告げる角笛の音が大きくなり周辺に響き渡る。遠眼鏡を通すと、エブラーナ王家の旗印がひらめくのが確かに見えた。



―――エッジだ…


―――エッジが帰って来たんだ!!!!


「エッジ―――――!!!!!」
 
「エッジ様のご帰還です!!西の方より、国軍の旗印が上がりました!!」
アイネが駆け出し、大声で城の皆に城主の帰還を告げた。その声を聞きつけた者は皆、西方の窓へ顔を出す。エッジの隊を見つけると、城内に喜びの声が上がった。
 
リディアは杖を天高くかざすと、その先端に意識を集中した。徐々に黒く塗られた先端が輝きだす。そして先端から幾筋もの光の筋が放たれ、輝きを増していった。
 
「リディア様…?」
カレンは間近のまぶしさに目を伏せながらも、リディアの行動を見守る。やがて光の筋は大きな二つの筋になり、杖の先端で回りながら、小さいながらも灯台の灯火のように城の上から輝いたのだった。


その光はエッジの隊にも届き、帰還に気が付いた反乱勢力は恐れおののき、エブラーナ兵達は歓声を上げる。


「若様…あれは!?」
「あれは…リディアだな!!あいつしかいねぇ!!」
エッジの率いた軍の到着に、反乱勢力に動揺が見え始めた。
戦場にたどり着いた軍は圧倒的な強さで、見る間に反乱勢力を後退させてゆく。
 
「投降しろ!!反逆の徒よ!!お前達を指揮した者は、既にエブラーナ国軍により拘束された!!」
一際大きな角笛の音と共に、近衛兵隊長が岩場に駆け上り叫ぶ。
その足元に、黒いローブを被せられた男が、縛り上げられ引き据えられる。フードが上げられあらわした面は、反乱を指揮したウォルシアそのものだった。
 
そして―――
 
「速やかに投降しろ!さもなくば立ち去り、二度とこの地に足を踏み入れるな!」
 
近衛兵隊長の後ろから現れたエッジの姿に、エブラーナ兵は沸き立つ。
もはや勝負は明らかだった。反乱勢力の兵達は途端に武器を捨てちりぢりに逃げ出し、その軍は見る間に影もなく消えてゆく。海賊や無法者の集まりでもある寄せ集めの軍に、正式な投降など知るものはなかった。
 
エブラーナ国軍は完全な勝利を収める事となったのだ。
  
 [101日目のプロポーズ 5]

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プロフィール
HN:
tommy
性別:
非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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