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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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14
 

いよいよ戴冠式の当日。
エッジは先日、女官2人を世話役にして、バロン入りしていたのだが、最後まで準備に手間取っていた。

「おいカレン!早く毛先トリートメントしてくれぇ~!!それからここ、伸びたのちょっと切ってくれ!!何かみっともねぇし!!」
「何で昨日のうちにご自分でしておかなかったのですか!?大体、当日に髪の毛を切るなんて聞いた事ありませんよ!!」
「ちょっとカレン、切るとか言わないの。結婚式の日よ。」
「おいおい、てめーら手ぇ止めんなよ!!俺の繊細な御髪が突っ張るだろうが!!!」

ゾリゾリッジャキッ…

「…あっ…」
「な、何だよ今の音!!!!」
朝早くから、エブラーナ一同が宿泊している来賓用の部屋からは、扉を閉めていても騒がしい声が外まで響いていた。

「よう、エッジにーちゃん!…って、すげー格好。急がしそーじゃね!?」
「邪魔しちゃだめよパロム!!お久しぶりです、エッジ様!!」
ドアを開けて入って来たのは、ミシディアの代表・長老名代としてバロン入りしたパロムとポロム。律儀に挨拶回りをしている様子だ。

「おう、久々!!」
「へっ、セシルあんちゃんより男前になろーったってそうはいかねぇぜ!」
パロムはエッジの膝元に乗っかり、大またを広げてふんぞり返ったのだった。

「あっれ、そーいやリディアねーちゃんは?確か、エブラーナに居たんだよな?」

ポロムが慌てて、パロムの頭を叩く。勿論、何も知りはしないものの、聡明な姉の察しはいい。一瞬女官2人の手が止まったが、エッジはへっ、と笑いながらパロムを下ろし二人に向き直った。
「いたずらばっかりしてんじゃねーぞ!!特に隣はファブール新王ヤン夫妻の部屋だ。失礼をしたら、山ごもりに連れてかれちまうぜ!!」
「や~~~だね~~~~!!!!」
と、言いつつも。パロムは既に騒ぎながら、ヤンの部屋に向けて突進している。
「失礼しました。エッジ様…」
「いやいや。わりぃな、心配かけて。」
ではまたのちほどと、ポロムは深々と頭を下げ部屋を出ていったのだった。

リディアはまだ、バロンには到着していなかった。
あと1時間もすれば式が始まる。今日はセシルとローザの戴冠式であり結婚式だ。自分がどうと言う日ではない。エッジは女官二人と別れ、戴冠式が行われる大広間へと移動した。
懐かしい顔に挨拶をし、談笑しながらも、頭の中は一つの事で埋まっていた。

「セシル殿、ローザ殿、おめでとうございます。」
「あんちゃん、おめでとう!!」

来賓たちは式の前、セシルとローザの前に並んで祝福を述べる。エッジもまたその列に並んだ。

「よう!セシル。おめでとさん!!」
「エッジ…遠路はるばるありがとう。」

晴れの日だと言うのに、セシルの表情に僅かな気遣いが垣間見え、エッジは声を張り上げ、セシルの肩を小突いた。

「いや、おめーらに礼を言わなきゃいけないのはこっちだしさ。ローザも、今日は一段と綺麗だなぁ!!いや~、いいカミさん貰ったな!!ちょっとおっかねぇけど、な。」
「まぁ!相変わらずね、エッジ!!」
ころころと笑いあう三人に、背後から近寄るのは。
「こりゃこのナマクラ王子が!!ローザに近寄るんじゃないわい!!」
「んだよシドじいさん!!誰がナマクラ王子だぁ~!?うわ、すげー油臭ぇな!!」
かつての様な仲間のやり取りに、その場の皆が笑いの渦に包まれていた。

―――待っていると、一秒も長いもんだな。全く…
―――こりゃあ本格的に、幻界に行く手はずを整えるか、な。

席は上座に設けられ、後ろを向かないと入り口が見えない所。

―――みっともねぇから、前向いてよっと。

いよいよ皆が席に着き、戴冠式の始まりを告げるラッパが響くと言う、その時―――

「!!ま、待って!!廊下から…だれか…」
ローザの、突然の制止の声。一同は訝しげに前を見るが、ローザの目は後ろの扉に向けられていた。静まり返ったフロアに響く微かな急ぎ足の音。
「やっぱりそうよ…来るわ!!」
その声に答える様に、静かに、けど急いで背後の扉が開かれたのだった。

「遅れて、ごめんなさい!!」

息が上がった様な声は普段とは違うが、紛れもなく一同には聞きなれた声。
「リディア…間に合ったね!!」
「来てくれたのね!リディア!!」
一同から歓声が上がるも、最前列の王子だけは振り返る事が出来ずにいた。

背中越しに、懐かしい足音が急いで通り過ぎるのが判る。ローザは前に駆け寄り、少女の手を取った。
「ローザ!!セシル…結婚おめでとう!!」
背後でもはっきりと、その存在を感じるのに。

「あなたこそ…よかったわ。誰にも知らせがないから…」
「ごめんなさい…あっ、一度、席につくね!!」
リディアはラッパを止めたままの兵士の姿を見て、急いでローザから離れ、エッジの前で足を止める。

「何だよ。」
心臓が早鐘を打っている。しかし嬉しい気持ちが多すぎるのかと判る位、見事につっけんどんな答えしか言葉にならない。
「ちょっと、放っときすぎなんじゃねぇの?」
「…ごめん…その…」
二人の様子を、一応の無関心を装いながらも、その場の皆が注目していた。

「ただい、ま…」
「ただいまって、おめーなぁ!!お、俺がどんなに待っていたか…」
勢いづいて振り向いたエッジの目に入ったのは。

「ご、ごめんなさい!!…って、エッジ…?」
「…」
薄緑のエブラーナ風のドレス。
あの日渡した首飾りをつけた、懐かしいリディアの姿。

―――ああ…

息を呑み、言葉が途切れる。心臓の早鐘は限界を超え、自分の視界がうっすら滲むのを感じ、再び背を向けた。

「へん、かな?この服…幻界で仕立ててもらったんだけど…」
「あ、ああ…と、とりあえず、席つけよ…」
リディアが下座に下がろうとした時、セシルが兵士に声をかけた。
「エブラーナ王子婚約者殿の席を、王子の隣に。」
「お、おいセシル…?!」
ローザも微笑んで、リディアに座るよう促す。リディアは隣に腰掛け、懐かしそうにこちらを見上げていたが、エッジはその姿を見る事は出来無かった。

「ただ今より、バロン新王の戴冠式、および結婚式を執り行います。―――いざここに、神々の祝福を――――!!」

フンファーレと、祝福の音がバロン城内き渡る。城下の人々はバロンの新王の誕生を祝い、歓声を上げるのだった







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プロフィール
HN:
tommy
性別:
非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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