忍者ブログ
Admin / Write / Res
ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
[49]  [48]  [47]  [46]  [45]  [44]  [43]  [42]  [41]  [40]  [39
×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

 
 7 

戦は勝利に終わったものの、エブラーナ城内では慌しい動きが続いた。
城下の被害は早急な対策が取られ、バロン派遣の白魔導師達もしばらくエブラーナ国内で活動してくれた為、街の復興は早かった。
 
また、エノールの街の不正な経理の流れを解明したが、知事に接触をしていたウォルシアの手先は既に自害していた。そしてバブイルの洞窟の、厳重に隠された隠し部屋の中から、失われて久しいエブラーナの王勺が見つかったと言う事は大いに城内を沸かせた。
 
エノールの街で、交渉の席に代表としてつき、爆発に巻き込まれ殺された哀れな男は、幼少の頃少数民族の集落から人買いにさらわれ逃げ出し、行商人に拾われて商人となった者だった。微かな郷愁もあったのだろう、少数民族の中では絶大な力を持つ存在である廃王の末裔に目をかけられ、自治と言う言葉を信じ彼の為に働いた。
 
知事を支配していたウォルシアの手先達と共に、エノールの自衛団を集め内乱の情報を流し、陽動された国軍の出発と共に、反乱勢力の本隊が海路でエブラーナの城に向かう計画は順調に進んだ。彼は交渉を無難にまとめたらすぐに国外へ逃げ出すはずだった。自分が消されるとは全く思いもしてなかったのだろう。
 
反逆者ウォルシアは裁判にかけられ公開処刑の判決が下ったものの、かつての王族と言う身分を考慮し、200年前にさかのぼり廃王の血を引く者、全ての王族身分を剥奪、配下の海賊・山賊が彼に納めていた金品などの全財産を没収、生涯孤島の神殿に役職・身分を持たぬ一介の神職として奉仕、関わりを持とうと接触した者は厳罰に処する、と言う温情ともいえる恩赦が与えられた。
 
彼には妻と幼い子が居たが、同じ様に遠く離れた砂漠の神殿に移し、生涯を神職奉仕に努める事とされ、妻子の命を助けられた事でウォルシアは身分の剥奪と神職出家を受け入れ、自ら王勺のありかを教えたと言う。
また、少数民族の自治においては、元々いずれは歩み寄らなければいけない問題ではあった為に、徐々に話し合いを進める事になった。
そして反乱勢力の魔導師達は魔力を侵略利用したとして、ミシディアに引き渡され裁きを受ける事となった。
  
この内乱でエッジの手腕は更に評価を高め、エブラーナ新王としての即位を望む声も大きくなりつつあった。
 
戦の区切りがついてからと言うものの、周りはエッジとリディアの事を静観している様だったが、王妃候補としてのリディアの扱いに戸惑いを感じている様子も伺えた。勿論誰からも反対する声はないが、特殊な状況下で出来上がってしまった事実をすんなり受け入れがたい、と言うのはあるのだろう。
 
―――どうしたい、か…
 
内乱の後処理でエッジは城を空けがちになり、現実的な不安が時々リディアの心をよぎっていた。ローザから問われた言葉にも、答えを出せずにいる。
 
幻界で大切に育てられた。
戻ってからも、セシルやローザ、エッジ、影ながらカインにも守られていた。
そんな自分が本当にエブラーナで、王子と共に一生生きてゆけるのだろうか?
生活も変わる。覚える事もたくさんある。意地悪な人もいるかもしれない。
 
―――考えていても仕方ないけど…
 
逃亡し、今になって戻って来た大貴族達は、エッジと共に国を守ったリディアを歓迎してくれたが、そうせざるを得ないと言うのもあるだろう。
リディアが忍術に縁の無い事を残念がる声も少なからずあり、また、若い女性ながら魔法に長け、幻獣を召喚する様に驚き、妖かしの化身では、と心無い事を言う者もいた。
ただそう言った事は無礼な下々の噂に過ぎないし、大臣達や武官貴族の中ではエッジの不在に城を守る為に奔走したリディアの評判は良かったのだが、それはリディアが知る由もなかった。
 
もっともリディアにとって大切な事がもう一つあった。
魔道師達の処罰の報告の為、エブラーナを訪れたミシディアの魔道師からエッジに告げられたのは、思わぬ場所からの言葉。
 
「幻界の王と女王は、今回の件、非常にリディア様の身を案じておられます」
 
リディアにではなく、ミシディアを介して直接エッジに告げられた言葉。
幻界は外界との繋がりは無いに等しいが、人間界に大きな用事のある時だけ、極秘にミシディアの長老や世界の重鎮を頼る事もあると聞いたが、人間界の小さな国の内乱と言う、幻界に関わりのない事に口をはさむなど考えられない事で、エッジに対して何かを言わんとしている事は明らかだった。
 
―――私、このままここにいて良いのかな…
 
―――何か忘れている気がする。でも…



  [101日目のプロポーズ 8]

拍手

PR
プロフィール
HN:
tommy
性別:
非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
PR
メールフォーム
ブログ内検索
P R
RSS
Copyright ©   FF4散文ブログ (=゚ω゚=) All Rights Reserved.
*Material by Pearl Box  *Photo by Kun  * Template by tsukika
忍者ブログ [PR]