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…(@´ω`@) フフフ
生きていたのか、と言う声すら聞こえない頃にひょっこりと戻ってきたでございますm(__)m
残暑も厳しくなくなった折、如何お過ごしでしょうか。
何と言うか、すっかり修復不可能と思われた(爆)このブログの全部のデータが無事な状態で某所で見つかり、何と言うか、嬉しくなってぼちぼちと書きなおしてまいりました。
…いやその…実は。
このブログデータをエクスポートはしたものの、テンプレートとかいじった為かマトモな状態のデータになっておらず、様々な無料ブログで試しにインポートしてみたのですが、えっらいけったいな形式になっているという状態でww
何処かのブログでそんなけったいなものを見たら、それは私の残骸であります…
すみません、世の方々…(´;ω;`) そんなブログが3つ位あるかもしれないww
『こりゃもう、治らん。頭から手が生えとる級だな。もう諦めるしかない(´・ω・`) 』
と思っていたら。全然忘れていた、ブクログさんにインポートしていたデータがマトモな形で生きていた…
…よかったああああ:w;
と今更ながらww
ブクログさんって会員登録必要だけど、どうやら二次制作もそれなりにやっているみたいだから、そのままそこで公開しても良かったんですけど…どのみち手直しは必要なんですよね…トホホ。身から出た錆とは言え、何でテンプレ改変して(しかも、ちょっと右とかに余白が欲しい、程度の事でw) あんな長文を作ってしまったんだろう(涙)
その辺りもまとめて、生きている間に何とかきれいに片づけせんとなぁ…
皆さま、ブログで長文を書く時には、変な気を起こさずに簡単~なテンプレートでそのまま行きましょう(@´ω`@)
…そだそだ。
何で今になってアンタここ思い出したのよ、と言うと。
書くって好きだなぁ、と改めて思い出し。
iPad とやらを買ってみまして、ええ、2をww
音楽も画像も予定も仕事もなーんにも自分的には、ええ、特にない…アレなのですが、文章を打つ、書くと言う事だけでも、ものすごーく使えると目からうろこでして。
近所のタリーズに行ってはそれ使って、日記みたいなのを書いているんですねww
7notesってアプリを愛用していますが、これは有料だけど、何か書くの好きって人は本当に嬉しいと思うww
打ってもOK,書いてもOK,更にそれを変換し直してくれると言うねww
手書きが文字データになるって、本当にありがたい(@´ω`@)
でも皆さま、やはりイラスト系なのかしらん(´・ω・`)
…最近はゲームとか創作とかからはとんと離れており、(お友達に会う為のオンゲ位w)生活自体も安定はしている…のですが、結局こんなアプリでも如何に書けるか、とかばかり目が行く辺り、やっぱり自分はこっちが好きなんだろうな、と思う事しばしばです。
この分野で新作って言う新作(書きかけのものはいずれとして)は作らない…とは思うので、取り合えず量にめげずに…まぁこの辺、自分の書いたもんだけど…何とか整理しないとなw
殆ど放置気味ですが…拍手など色々、ありがとうございます。
拍手のお礼だけでも更新しようかと思いつつも、内容ないのに一個人の日記みたいなの書いても、お目汚しになるかなとついつい^^;
では皆さま、またしばし…
「リディア」
どれ位時間がたっただろう。エッジはベッドの縁に座っていたが、先ほどとはうって変わり、穏やかな口調で臥せるリディアに語りかけた。
「エッジ…?」
リディアは身体を起こし、恐る恐るエッジと目を合わせる。そしてその表情からも怒りが
消えているのが判り、胸を撫で下ろしたのだった。
「お前にとって家族って、どんなもん?」
「家族?」
「ああ。オヤジとお袋がいて、子供もいて…」
「?う、うん…えっと…」
不思議な問いだ。母の亡くなった理由を知っているエッジがこんな事を言うなんて。
「…私は…お父さん…召喚士の血が濃くて…早く亡くなったの。お母さんとはとても仲が良かった。幸せだったな。」
「そうか…俺もだよ。親父とお袋、仲良かったな。色々言う連中もいたけどさ。いいよな。親父とお袋が仲いいって。」
そっと、頬にエッジの手が触れるが、優しい感触を伝える指先。
「俺…国の事は大切だし、心配かけてんのも判るけど…その為にいい所のお姫さんと結婚してお世継ぎどーのとか、ムナクソ悪くてさ…やっぱ、段取り踏んで行きたいじゃん。」
自分の立場と、召喚士の歴史と重ね合わせた様なエッジの言葉だった。家老の行動を節操が無い、等思えないかもしれない。
リディアはふと、自分の生い立ちを思い出していた。自分もまた、血統維持の為に血族結婚を繰り返し、不妊と短命へ走る召喚士の血筋なのだ。
かつては、将来婚姻させるために、引き離して血縁を隠し育てられた兄妹や姉弟も珍しくなかった。それが、召喚士の使命と周りに教えられていた。村には召喚の血筋とそうでない者がおり、差別と言うものはなかったが、それでも召喚の血を持つ者は特別な存在だった。
今は流石に血族婚はなくなったものの、少し前まで、召喚士としての才能を発揮しはじめた子供は、それ以外の血筋のものとは、個人的に深く心を通わせない様に仕向けられていたのだ。
それはいずれ、濃い血を交えると言う前提の為だった。
しかし幸いにも自分は、村を出てセシル達と世界を周り、幻獣達の愛情に包まれて成長する内、それが様々な思いや理に反する事だと気がつく事ができたのだ。大切なのは心が通う事。それをないがしろにした故郷の村が、抱えるものに固執するあまり、衰退の道をたどったのが、外から見れば良く判る。
「うん。私も…そう思う。王族の血統が、どれ位すごい事なのか私…判らない。でも…エッジと私は、心…繋がっているんだよね?」
「当たりめーだよ。それでいいじゃん。」
「うん。血筋だからって…私はお母さんが魔法を教えてくれたから、召喚も出来る様になったと思っているよ。エッジもそうでしょ?それに、私…大きくなったら、えーっと…確か…30位上の叔父と結婚する事になっていたんだよ。そんなの嫌だったもん。」
「30上…って…?そんな話があったのかよ!?」
幼い日、若い叔母が亡くなった。父の弟の妻は、まだ20才にもなっていなかった。
そしてある夜、近所の年長者達の話し合いを盗み聞きしてしまったのだ。
―――子も産まずに死んでしまったな。後妻は誰にするか。
―――リディアはどうだ?子供が産める様になるには、5年もかからないさ…
―――しかし時間が長くはないか?純血でなくても、早く後添いを迎え子を…
―――いいじゃないか。あいつは若い娘が好きだし…
―――ならば決定だな。今のうちに、懐かせておかなければいかんな…
親類の情は、男女の仲とは全く違う物など知りもしない頃だったが、生理的な嫌悪感を、男達の話に覚えたのは鮮明だった。
「お母さんは絶対させない、って言ってくれたけど…どうなってたか…だから私、子供が出来たら、召喚魔法を教えてあげるの。きっと召喚士とは違う人との子供でも、頑張れば出来る様になる。もうミストに戻ることは無いだろうけど、それが知られれば、皆血に頼らなくなるから、そんな不幸もなくなるかな、って。」
父と母は遠い血縁の夫婦だった為か、リディアは純血の召喚士であっても才能は最初から非凡、と言える程では無かった。その代わりに、召喚士としては比較的健康な身体を持つ事ができた為、周りの将来への期待は大きく、血を保つ為に近親者を配偶者にと言う動きは、幼いリディアにも感じられる程だったのだ。
それを自然として育って来た。だが、今は違う。
家老の言葉に拒絶反応を示したのは、その記憶にもあるのかもしれない。
「…エッジ…どうしたの?何か悪い事…言ったかな?」
覗き込んだエッジの表情は、怒りとは違っていたが、再び険しいものになってるのに気が付き、リディアは首をかしげる。
だがその視線を逸らし、別に、と息をついたのだった。
「もう村を出たんだろ。だったら、そんな事気にするな。お前はお前で、一人の召喚士でいいじゃねぇか。聞きたくねぇよ。30も年上のジジィと結婚?冗談キツイだろ。」
「…あ…ごめん。変な話だよね。そんな事言われた位だから…家老さんの言葉、気にしてないって事なの。」
しかし言葉の途中で、ぐい、と今度は強めに頬が引き寄せられた。
「いいからやめろ。聞きたくねぇ。口ふさぐぞ。」
「え!?鼻はふさがないでね…」
近づきかけたエッジの顔が、ため息と一緒に一気に下へがくっ、と下がる。
「…そうじゃねぇって…あのなぁ…ガキじゃねぇんだ。ベッドルームに男なんか、間違っても入れるんじゃない。俺が悪いヤツだったら、お前ひどい目にあってるよ?ジイじゃなくたって、誤解するよ?何されても、言われてもおかしくねぇよ。全く…」
僅かに、頬にかかった手に力が入った。
「…一回だけ聞いてもいいか?お前が受け入れてくれるなら―――俺は…その、お前とそうなるのは…」
「ちょっ…!!そんな事言わないで!!」
思わぬ大きな声に、エッジの手が一瞬、驚きで震えたのが判った。意識はしていなかった。自分でも驚く程の勢いで、制止の言葉を叫んでいた。
「ご、ごめん…その…エッジが嫌い、とかじゃなくて…」
頬にあてられた掌から熱が伝わって来る。言葉の意味が、判らない訳ない。頑強に拒む程、いやな訳じゃない。そしてエッジを嫌いな訳じゃない。でも。
それなのに、自分を間近に包むエッジの眼差しは柔らかく、そのまま、その胸に身体を預けてしまいたい衝動にかられていた。
―――なんて我がままなんだろう…
「そうか。残念だな。だったら、ベッドで男に顔なんか触らせちゃいけないだろ?」
「…意地悪。」
意地悪は、どちらだろう。わざわざ会いに来て、からかっていると思われたのだろうか。
「お使い…でも私もエッジに会いたいと思ったから…だから来たの。ごめん。そんな事…考えてなくて…」
「ばか。そんな事…二の次だ。でも俺、ちょっと幸せかも。ありがとな。」
小さな額に柔らかく、唇が触れた。もじもじ、と肩をすくめるリディア。その腕を両方からぽんと叩き、にかぁ、と笑みを浮かべる。
「大丈夫。野蛮な事はいたしません。さ、メシにしよーぜ。まだ食ってないんだろ?」
外に出て部屋の灯りを幾つか灯すエッジの指先には、微かに火遁の動き。ワゴンに添えつけの小さな火鉢にも火を落とすと、金属の器に入ったスープを温め出す。懐から取りだされた袋から、皿にぼたぼたとパンやらドライフルーツやらが落ちてきた。
「ほれ、穀類とらねぇと腹持ち悪いだろ。お前、肉あんまり食わねぇよな。その皿頂戴。」
「エッジ…それ、何…?」
「ああ、台所にあったから貰って来た。余り物ってのは、こうやって持ち出すもんだぜ!」
エブラーナ城では、食べ物の無駄は一切ない様だ。今朝の事を思い出し、くすくすと笑みがこぼれたのだった。
「何だぁ?」
「ううん、何でもないの。」
「…あ、あの~う…」
まるで頃合いを見計らったかの様に、扉の外から、遠慮がちに強い方の女官の声がした。
「お加減よろしい様でしたら…エッジ様の夕食も、お持ちいたしますが…」
「ああ、俺のあんの?わりいな、急に帰ってきちまって。余ってんのでいいよ。」
おそらく、オルフェから次第を聞いて来たのだろう。
それを知ってか知らずか、何であいつら、そんなに用意がいいんだ?等とつぶやきながら、エッジはパンをかじる。何やら思う所もあるのか、俺もヒトがいい~、等とボソボソ呟く声と共にパンの欠片が床に落ちていった。
「って!!ちょっと!歩きながら食べないでよ!」
「おお~怖いお母さん!」
食べかけのパンはそのまま、リディアの口に押し込まれた。
「んむむ~!!」
それでも出す訳にはいかないとばかり、もぐもぐと必死で口の中にパンを閉じ込めるリディア。
「うっわ、ガキみて~~~~!!!」
「むむむむむ~~~~!!!」
必死の抗議も『リス顔』と一笑にふす表情からは、先程の面持ちはすっかり消えていた。
「おうカレン!早かったな!」
扉を開ける音に、リディアは慌てて後ろを向いて、パンの最後を口に閉じ込めたのだった。
「すみません。もう火を消してしまったので、こんな物しか残ってなくて…確かドライフルーツもあったのですが…」
扉の外に立つ二人もリディアを案じていたのだろう。安心した様な表情を浮かべている。
「そうそう、ドライフルーツが無くなってしまったのですわ。パンと一緒に。」
「まったく、人が夜食に取っておいた…も、もとい大切なお城の食べ物を…見つけたらタダじゃおかないわ!!」
さっと、袋から出したドライフルーツを乗せた皿の前にエッジが立った瞬間ちらり、とアイネの眼鏡がこちらを見た気がした。
「あ、いいって!!いいからいいから!!ゆ、許してやれ、な!!」
噴出しそうになるのをこらえるリディア。
「…もふッ…二人ともごめんね。ちょっと寝すぎちゃって。」
まぁ、お客様の為なら、と言う空気を醸し出しながら、アイネが首を振る。
「いえいえ、お疲れになりましたでしょう?今日は泊まりで下のフロアにいますので…御用ございましたら、何時でもお呼び下さいね。」
恐らく話は聞いているのだろう。なんでもない、と言い訳をする気にもなれずにいたが、女官の方もそれは察している様で、あえて心配している様子は見せない風だった。
素っ気無く立ち去ろうとする二人に、エッジが声をかける。
「あのさ、お前ら、これから本格的にリディアの面倒頼みたいんだけど…どうよ。」
「へ…?私、十分面倒見てもらってるよ!?」
十分過ぎるほどこの二人は仕事をしている。エッジも判っているはずだ。それなのに。
「…私達はそれが仕事ですわ。ねぇ、カレン。」
「ええ。命を助けられたからには、荒野でも戦場でも、リディア様に付いて行くつもりです。」
「荒野戦場は勘弁してくれよな…ま、ありがと。」
女官二人は一瞬顔を見合わせた。すたすたと、エッジは二人の方へ近づくと、小声で何か話しかけている。
「…エッジ?」
リディアも近寄ろうとするものの、三人は円陣を組むように頭をつき合わせる。
「ちょっとさ、お前ら下の部屋で仮眠だろ?後で行っていい?」
「はぁ。って、何故ですか?リディア様を置いて…?」
「おめーらを見込んで頼みたい事があるのよ…俺の…いやお国の為に、力かしてくれ、なっ!!」
「…どうせ私たちが何を言っても、思う様にしかなさりませんでしょ。」
ひそひそ話をしていたと思えば、クックックッ、と漏れる声。
「…で、今回は…根回し・書類偽造・事後伝令のどれになさいますか?」
「お二人に反対する方々を大人しくして頂くとかもOKですわ…ホホホッホホ…」
「ばか!!声でけぇよ!!とにかく後で行くから!!」
漏れる言葉からすると、穏やかな話ではないのだろう。リディアは聞かない様に背中を向けて、スープをかき回していた。
[廃位の王 3] へ
第2章 廃位の王
もう何度、身体の向きを替えただろう。その度に、シーツに当たる頬が、ただ、ちょっと痛いなあ、とだけ感じる。カーテンの奥に仕切られたスペースは自分1人だというのに、当たり前の静寂が、空気の音ですら。ベッドに伏せる自分に突き刺さる様で、顔を上げる事が出来ずにいる。
さっき、自分は何を家老に求められたのか。
では自分は何を望んで、ここに来たのか―――
―――エッジにお使いを頼みたいんだ。
―――まだ何が怖いの?リディア。
あの時セシルの言葉に、返す答えは無かった。
セシルの言わんとしている事が、全く判らなかった訳じゃない。
ただ、セシル達と城で暮している内、『王』と言うものがどう言う存在なのか、どれ程大きな役目を背負っているのかと言う事は、世間に疎いリディアでも感じられる程だった。徐々に『他国の王子』であるエッジには、単純に会いたいと思うことはためらわれた。
セシルの『お使い』が、言い訳に近い事も察してはいた。
―――国の使者なら、もしエッジの隣に未来の王妃様がいても…迷惑にならないよね…
―――でも…本当に普通の『国の使者』として迎えられたら?
―――玉座にすわったままのエッジに、近寄れなかったら?
それでも受けたのは、エッジに会いたいと思っていたのは、真実だったから―――
時間が戻ったかの様な再会に、どれだけ絡んでいた自分の心が解かれ、暖められたか。『もう帰さねぇからな!!』と言う言葉にはさすがに頷けなかったけど、許して貰えるなら少しでも長く、この国に留まりたいと思ってしまった。
―――なのに…
判っている。自業自得なのだ。
エッジの態度を見て、周りが先走らない訳がない。胸に抱かれている姿を見て、家老が誤解しない訳がない。使者としてきたのなら、国に騒ぎが起きたら真っ先に去らなければ迷惑になる。何処が安全か判らない、と言うのも、いざとなったら力になりたい、と言うのも、他から見ればここに留まる言い訳に過ぎないかもしれない。
―――家老さんがあんな事言ったのも全部…
カーテンの外でかたり、と物音がし、顔を上げる。
「…オルフェさん?」
カーテン越しに近づいてきた青年が声をかける。もう、夕飯の時間だった。軽食のワゴンを運んできた様で、微かにスープとパンの香りがした。
「目が覚めましたか?」
「うん…」
そうは言ったものの、ひどく気だるくて身体を起き上がらせる事は出来ない。身体にかかっていたローブがずり落ちたが、それを拾う気にもなれなかった。
時間はそんなに経っていないようだが、既に部屋には西日が差し込んでいる。
「…ごめんなさい。大騒ぎ、する事じゃなかったね。」
徐々に脳裏に、先ほどの家老の言葉が思い浮かぶ。
―――王家にはエッジしかいない、どうか、彼を留めて欲しい
ここに来た事を、そんな風に思われていたのだろうか。
同じ部屋で寝ている、という事は、周りから見ればそう言う関係に見えて当然なのだけど、今更になってそれを思い知る事になった。
「リディア様…先ほど家老様がお忘れ下さい、とのお言伝を…」
「うん…」
動揺と勘違いの上での言葉、と言うのは理解は出来る。それでも思い出すと微かな寒気が走った。
「ねぇ。」
それにしても、とリディアは首を伸ばしてカーテン越しのオルフェの姿を見た。
「どうして、オルフェさんはあそこにいたの?」
「は…その、魔導師の者達にはどの程度の伝令を、と思いまして。戦に関わる者もおりますので。それで引き返したら―――」
「そっか、みっともない所、見せちゃった。入って良いよ。ローブかけてくれたんでしょう?」
カーテンの外の陰は慌てて首を振った。
王子の客人の寝室に、おいそれと入る訳にはいかないだろう。そうとは気がつかず、リディアは首をかしげ、身体を引きずる様に起こし、床に落ちたローブを拾いたたもうとしたが、急いでオルフェはカーテンをくぐり、床に落ちたローブに手を伸ばす。
リディアに笑みがこぼれた。
「ありがとう!優しいんだね。」
「…リディア様。」
オルフェはリディアのベッドから数歩離れた所に跪く。
「先ほどの家老様のお話ですが―――あれは私にも、責はございます。」
「え…何で?」
「いえ、実は…私もよく、家老殿の話し相手をしておりましたので。その、先走りの助長を…」
ルビガンテの戦が終わり、月での戦いからエッジが帰還すると、エブラーナでは国の再建が始められた。周りでは、その為の援助を見込める有力な貴族や他部族の縁者をエッジと結婚させ、国の復興を早めよう、と言う話もあったという。
しかしエッジは、それは妻になった者に負担を強いる事になると頑として聞き入れず、戦いで得た人脈を活用し、自ら様々な所へ赴き民の士気を上げ、国を復興していった。
それによりエッジを支持する動きは他部族や近隣にも広まったものの、先の戦で王族がエッジのみになった事を、父王の代からの世話係でもある家老は非常に気にかけており、若様に良い方はおらぬのか、王家の遠縁の者を探さねば、と常に口にしていたと言う。
「…先の戦では、エッジ様を追い家老殿も自らバブイルの塔へ出向かわれた程―――残されたエッジ様をお気遣う気持ちは我らの比ではないのでしょう…」
ルビガンテを倒したすぐ後。
老いた家老が先頭を切って、兵士達と共に勢い良く乗り込んできた姿は、失礼と思いながらも微笑ましささえ感じる姿だった。しかし、かつては腕の立つ忍者であっただろう家老でも、老いた身に鞭打って塔を駆け上がって来たのだろう。
「で、その…じ、実は家老殿がよく、“早く若様のお子様が見たいものだ、しかし浮名を流した若様に今までお子が出来なかったのは、よもや若は種無しでは?!”…と言っていたのを、よく隣でハイハイ頷いていた物ですから…その…適当に。家老様が1人盛りあがっていたのはやはり止め様がなく…」
「な、なるほどね…」
リディアは目を丸くし、一瞬の後、思わず噴き出した。ここまで来れば、家老の杞憂も相当だ。
「私の個人的な考えから言えば…それは焦らされても、と言う感じなのですが…」
「う~ん、おじいちゃんってさ、きっとそんなもんなんだよ…ね。」
その時、幾人かの兵士が、廊下を駆けた音が聞こえ、扉の外が微かに騒がしくなったのを感じ、二人は顔を見合わせる。
「エッジ様がお帰りになったのでしょうか…」
「かも…顔…合わせたくないな…」
家老の杞憂は判ったものの、流石に、エッジと顔を合わせるとなると、刺激は強い。
「ご具合が悪いと説明しておきますね。」
「うん…ごめんね。お願い。」
オルフェは急いで開け放してある扉の近くに走った。
こつこつと響く足音がやたら大きく聞こえる。
エッジは足音を立てて歩く事は滅多にしない筈なのに、今聞こえて来るのは確実に扉に近付いているエッジの足音。無意識に、耳を覆う様に手が動く。
「ただいまっと。あれ、何だお前が出迎えかよ。」
エッジが扉に姿を現したとき、オルフェは既にごく自然にその場に立っていた。
「お帰りなさいませ。エッジ様。…家老様より、リディア様にご伝言があったのでお伝えにあがりましたが、お休みになっている様なので…」
急ぎ足で部屋を出ようとするオルフェに、エッジはふうん、と首をかしげた。
「って、リディア、どうかしたのか?寝てんのか?」
「う、うん。お帰り…」
エッジは中を伺うが、リディアがこちらを向いている様子もない。
「どうした?風邪でもひいたのか?」
「うん…ちょっとだけね。あ、ああそう、それより、エッジ…出陣するの?」
「…様子次第では、な。皆行くなって言うけど、俺は早くすませてぇし。」
軽く返事をし、部屋着に着替えつつも、様子をうかがわれているのが判る。
「そうなんだ…でも出陣したら、悲しむから…家老さんとか。」
室内には、軽食のワゴンが覆いをかけたまま、手付かずのまま置かれている。病気なら、女官達が放っておく様に思えない。
「お前、一体どうしたんだよ…何かあったの?」
しかし、城に帰ってから誰もリディアの異変を告げる者は居なかった。オルフェはまだ出てゆかず、扉の近くで二人の様子を気にかけている様だった。
「おい…」
「来ないで!」
二人の言葉は同時に発せられたが、既にエッジはそのカーテンを払いのけていた。
「エッジ…」
リディアは寝巻きではなく、部屋着のままベッドに臥せっていた。そしてその足元に落ちていたのは、オルフェがリディアにかけたローブ。エッジは足に当たったローブを見ると、見る間に険しく表情を変えて行く。
「…ここに誰かいたのか?」
リディアとオルフェは一瞬、エッジ越しに顔を見合わせる。気づいたエッジは明らかに険しく表情を変えた。
「だ、大丈夫だってば!!寝てたいの。お願い、閉めて!!」
とっさにリディアは、ローブを拾い上げようとベッドから手を伸ばしたが、その手首はエッジにつかまれ、引き寄せられた。
「その、エッジ…違うの!」
「違うって…何がだよ!?」
手首を掴む強い力に、リディアは身体を硬直させる。エッジは短気な所もあるが、こんな手荒な扱いをされた事は今まで一度もない。
「離して!!痛い!!」
「エッジ様!!」
「てめぇは黙ってろ!!」
エッジは近づいたオルフェを片手で突き飛ばす。その音と激しい口調に、リディアはますます身体を硬くして、同じ言葉を繰り返すだけだった。
「離して…私、疲れてたから…寝たいの…違うのよ。ちょっと嫌な事が…あったの。」
「嫌な事って何だ?じいが何か言ったのか?それとも、お前か?」
明らかな誤解とは本人も判っているのだろうが、背後のオルフェを一瞥する。だか蒼髪の青年は、下がりながらも動じることなく答えたのだった。
「いえ…リディア様へ…家老様の方よりお言伝を頂きました。それをお伝えに上がったのですが…ご気分が優れない様でしたので、私の上着を。」
うん、とリディアは頷く。彼の言う事が、先程ここで起きた全てなのだ。
伏せる客人の近くに寄るのは無作法な事だが、リディアの先程までの状態ならば、咎められる程の事ではない。
「…お前らの間に何かしらの問題が起きた、って事じゃなければ、俺はどちらも咎める事はない。つまり、他の誰かだな?じいか?」
「…家老さんは…」
家老が言った事。それは、自分が最も避けていた事。
「勘違いしただけなんだよ―――エッジがね、急な戦で出陣になるかもしれないから、心配になったみたいで…エッジに何かあったら、エブラーナはどうなるんだろうっていつも心配で…それで―――」
それ以上、告げる事が出来ない。どうしたんだ、と言うエッジの声は耳に届いている。
「だから…その…」
―――希望だけでいい…若様がその身を大事にする様に…
「その…その…」
口を開いたのは、背後のオルフェだった。
「家老殿は―――リディア様に、エッジ様をお引止めする様にと懇願され―――より深い仲になり、エッジ様がその身を重んじるようにと…出来れば、いずれは世継ぎを…と…」
「―――?な…に?」
その言葉に、エッジは目を見開く。
「じいが…リディア…お前…に…?」
一瞬、意味を理解できなかったのだろう。徐々にエッジの顔に浮かぶ狼狽と、怒りと、戸惑い。
「失礼いたします!」
弾かれた様に、オルフェは立ち去り、部屋には、エッジとリディアだけが取り残された―――