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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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そして数ヵ月後―――
 

春の訪れと共に、エブラーナでは新王戴冠式と結婚式が執り行われる事になったが、これはエブラーナ史上初となる、世界各国からの来賓を招くという歴史的一大イベントだった。

辺境の国ながらもエブラーナの民たちは盛大に来賓を歓迎し、来賓の中には、幻界より訪れた一団―――幻獣王や女王、そして無理やり人間の姿に化けた珍妙な幻獣達の姿もあり、国内は大きく湧き上がったのだった。

「この良き日を迎えられた事を、神の名と、天地の恵みの元に祝福いたします。」

王宮内の本神殿で、神職長と国家の重鎮・来賓達の立会いの元、エッジとリディアの婚姻と戴冠の儀が始められた。
神職長が言祝ぎを述べると、エッジとリディアは礼に従い、深々と頭を下げる。神職長はエブラーナを守護神である龍の施された翡翠の宝珠を掲げ、エッジに向き直る。

「エドワード・ジェラルダイン、あなたはこれより新たな国王としての責を追う事となります。至冠を頂く者として、国の民を守り、よく治め、いかなる時もその責務を全うする事を、神と友と忠実なる者達の前に誓いますか?」

「誓います。この国を守る神、そして全ての者達に。」
決意を秘めたエッジの声が、静まり返った神殿に響く。
神職長の手によりエッジに王冠が冠され、王家の刀が渡された。

「リディア―――幻界の国より降臨したエブラーナの救い主よ。」
リディアの元に、神職長は宝珠を掲げた。
「あなたは新国王エドワードの妻となり、共にこの国を守り、治め、いかなる時もその責を全うする事を全ての者達の前に誓いますか?」

「はい、誓います。」

リディアが静かに答えると、王妃の冠が掲げられ、神職長の手により戴冠された。続いて王尺が手渡されると、来賓の間からため息が漏れる。まずは神の名の下に、2人が正式に夫婦になった瞬間だった。同席の来賓たちから、祝福と承認の拍手が沸き起こる。

来賓を代表し、バロン国王セシルが証人の名乗りを上げた。

「2人の婚姻がなされた事をバロン国王、セシル・ハーヴィの名を持ち、永遠にこの人の世における証人となります。新王と王妃に、限りなき加護と幸いを―――この地を守る神の名の元に、民の元に。そして友の元に、天と地の恵みの元に、新国王・王妃に祝福を!!」

神職長の宣言の声が高らかに響き渡った。

「エブラーナ新王、そして王妃の誕生を、ここに宣言します!」

それを合図に、兵が城内に知らせを走らせる。街では新たな国王が誕生した瞬間、街中に花火が上げられた。

―――エブラーナ万歳!!
―――新王、王妃様に祝福を!!

民衆の祝福を受けるため、二人が城門のバルコニーに向かうと、既に大通りは人の波に埋め尽くされ、小さな城下のみならず、近隣町村の全てが参賀に駆けつけた様な騒ぎになっていた。

「うわ、ウチの国…こんなに人がいたのかよ…」
先の大戦から帰った時以上の人が沿道を埋め尽くしているその光景。エッジは自分の治める国ながら、改めてその責任を重く感じ取るのだった。
「何言ってるのよ、エッジってば…」
エッジと共に手を上げ、ただただ驚きながら人の波を見回していたリディアだったが、目の端に入った影にふと声を上げる。

「あっ…」
それはすぐ真下。一瞬目が合い、人ごみの中に消えた碧の髪の少女。

―――ああ…

「リディア?」
「…そう言う、事だったのか…」
頷くリディアの肩をぽん、と叩くが、なにやら納得しているだけの横顔。
「―――っていうか、ほら!!皆の方向けよ!!!」

エッジがその小さな肩を強引に自分に向けた時、リディアは初めて我に返るも―――

「うわっ、何やってるんだエッジ!?」
「んもう!!本当に!!」

背後に控えていたセシルとローザは、思わず顔を覆う。
集まった人々の前でエッジは、リディアをそのまま胸に抱き込み、唇を重ねていた。

リディアはしばらくばたばたとしていたが、横目でちらり、と人々の姿を見ると、大人しくエッジの腕に落ち着いた。
人々の間からは歓声と冷やかしが大きく巻き起こり、エッジはリディアにつまみ上げられている腕の痛みをこらえつつも、生涯この国と、そして自分と共に歩む王妃を守り続ける事をその心に誓うのだった。

―――その後、エブラーナでは長きに渡り大きな戦も無く、世界各国とも友好的な関係を結び、平和的な発展を遂げてゆく事になる。

数年の後王子と姫にも恵まれ、王と王妃の曇りない治世の下、国の安泰は確かな物になって行くのだった。
そして王と王妃は、共に長い時を幸せに暮らしたと言う。

この子供達もまた、父母にも勝る武勇の王族となり立派に国を治めて行くのだが、それはまた別の物語として伝えられて行くのだろう。




『碧き風の舞い降りた国』  完

 

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tommy
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非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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