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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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第3章 101日目のプロポーズ
 

エッジの一隊は、夜明けと共に出発した。
朝方は冷え込んでいるが、これほど夜が明けるのを待ち遠しいと思った事はない。
 
―――エブラーナ城は、どうなっているんだろうか…
 
はやるばかりだったが、とりあえずは皆が無事と言う事で、僅かながら心の平安を保っていられた。それがなければ闇夜であれ、遮二無二馬を進めてしまいよほどの危険な目にあったかもしれない。
街道の整備された低い山ではあるが、隣に連なった山から川が流れ、小さな谷もあり馬を進めるには慎重な手綱さばきも必要だ。
 
時間がかかっても、平地で夜明けを待った方がいい。
 
そして、それを選んだエッジの変化は近衛兵達にも伝わっていた。
 
「…若様は、今回は落ち着いていられるな…」
「ああ。下手をすれば昨日の夜、駆け出していかれるかと思ったが…」
 
こっそりとそんな事を口走る兵達には、『大切なお客さん』の存在、玄関でエッジを出迎えた美しい女性の影が見えている。
「この戦を終えれば、若様の婚礼も叶うかもしれん。頑張らねばな。」
 
洗練された近衛兵達にとって、若く、正義感強く熱い王子は、仕える主であると同時に見守る様な部分もある存在だった。ルビガンテとの戦の時、誰が止めるのも聞かずに一人、王と王妃の敵を討ちに死に急いだエッジ。
その頃よりも格段に成長した姿を、今は目の当たりにしている。
 
夜明けの空に、二発の花火が上がった。
離れて野営していた本隊が、出発した合図。エッジは兵士達に向き直る。
「進みながら合流する。こちらは一気にエブラーナへ向かうぞ。」
「はっ。」
 
まだ微かに闇は鈍り始めた位だが、徐々に広がりつつある視界。
誰が命じる訳でもなく、一同の進みは早まって行く。
 
最悪篭城で持ちこたえられない訳でもない。ルビガンテの戦で破壊されたエブラーナ城の城壁だが、今は鉄壁の守りを誇る。しかし外で戦っている兵士の戦況は。
  
「エッジ様…」
 
近衛兵隊長が、静かにエッジの隣に馬を進めた。無言で示す方を見ると、遠間に同じ人数ほどの旅人の一群が、こちらへ馬を進めているのが見えた。
「旅人、か?こんな朝早くに…武装はしていない様だが…」
エッジはフードを被り、ハヤテの鞍飾りを隠すと、隊を横へと寄せる。他の兵もエッジに習い近衛兵の印を隠し、道を空け静かに馬を進めた。
 
旅人の一団は一見するとみすぼらしい黒のローブを被っていたが、その表情はうかがい知る事は出来ない。
先頭の男がすれ違い様に、道を明けた礼を会釈であらわし、通り過ぎた。
 
しかし、何処か自分を見すえる様な視線、空気―――
一瞬交わした目線に、僅かに自分と同じ瞳の色が見えた瞬間。エッジが静かに刀の柄に手をかけるのと同時に、男は背後から声をかけた。
 
「お初お目にかかります。エドワード・ジェラルダイン殿下。」
 
一瞬、近衛兵に緊迫した空気が漂う。
エッジは馬の向きを変え、男に向き直った。
「…誰だ?こんな朝早くに会う様な知り合いはいねぇがな。」
なおも男は静かに語りかけた。
「先ほどの陣営で、お怪我の為足止めされている、とのお話―――敵を欺く為の偽りでしたとは。」
「…俺が、ボムごときにやられると思ったのか?」
 
男は、2、3歩馬を進め、エッジの方に向き直り。後方の近衛兵が武器を構えても一向に意に介さず、ローブの下からエッジに鋭い視線を投げかけていた。
「無駄足にはなりましたが―――お陰で、直接お会いできる事が出来た。光栄であります。あなたとこうして、お話する事が出来るのが―――」
更に近寄る男を、近衛兵二人が阻む様に前に立つ。
「貴様!!何者だ!!」


「兵士ごときに名乗る名はない。」
男が目にも留まらぬ速さで腕を振ると、矢をつがえていた近衛兵が肩を押さえ馬から落ちた。
「うあっ!!」
近衛兵ですら見切れない一瞬の動きだった。肩には根元まで小型のくないが刺さり、うめき声をあげる。
「トマス!!」
若い近衛兵は地面に叩きつけられそうになりつつも、かろうじてバランスを取り、エッジの足元に膝をついた。
エッジはトマスを隠す様に馬を前に進め、再び男に向き直った。
 
「本物の前で名乗れねぇなら答えてやるよ。ニセ王族、ウォルシアさんよ!!」
「その通り―――エドワード・ジェラルダイン!いざ尋常に、勝負されよ!!」
 
その言葉と同時に、男の手から再びくないが投げられる。エッジは馬から宙へ飛び、身を翻して着地と同時に抜刀した。
 
近衛兵達も臨戦態勢に入り身構える。男はローブを脱ぎ捨て、その面を始めてエッジに明かした。険しさが刻まれた表情ではあるが、まだ壮年にかからない男。自分に似た銀髪、だが殺気立った目は明らかに別の物だ。
 
 [101日目のプロポーズ 2]
 

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tommy
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非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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