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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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 9
  

その夜。
エッジの帰還は急ではあったが、ごく身近の忠臣―――幾人かの近衛兵と隊長や宰相、下座ではあったが家老やリディア付の三人までも身近に功労のあった者十数人程を集めて、急ごしらえの慰労の晩餐会が開かれた。

王族と同席の晩餐、と言う事で同席の近衛兵や女官、侍従も略式ながら衣装を整え、エッジはいつもの忍服から王族の略式服に着替え上座に座り、リディアも軽装のドレスに着替えエッジの横に座っていた。
セッティングが終わると、大事な話があるからと食事の係を退室させた。乾杯の音頭が取られ、グラスが上げられる。
「とりあえず、この晩餐は非公式だ。だから…」
その言葉を皮切りに暑苦しい、と言わんばかりに胸元のボタンを外すエッジ。
「固っ苦しいこと抜きにして行くぞ。じい、こっち来い。何か言いたそうな目で見ないでくれ。カレン、トマスの隣に行け。隊長が俺の方に来い。」

一応、身分、階級の差ごとに分けられた席ではあったが、エッジが指示を出すと、皆がその様に移動した。カレンはうつむいて動きずらそうにしていたものの、隊長に背を押されて若い近衛兵の横に席を移した。

―――トマス…って人だよなぁ…カレンの隣…

エッジにも目をかけられている、時々王族のフロアでも見かけた若い近衛兵。戦で毒矢に当たったが、一命は取り留めたと聞いた。
「ねぇ…家老さん…何でカレンがあそこなんですか?」
「…色々と、噂がありましてな…」

家老がほっほっ、と笑うと、エッジは咳払いをしてカレンの方を見た。

「って言うか、おめーら今日結婚しろ。命令だ命令!!!」
「エ、エッジ様!?」
家老や宰相、隊長までもが笑い出すと若い二人は顔を赤くし、その様子にリディアも思わず笑い出していた。なにやら、いい話らしい。
「カレンは、下級武官貴族家の一人娘。若い頃は色事そっちのけで武術の修行に明け暮れておりましてな。あのトマスとは幼馴染みの弟の様な物ですが、どうにもそれが邪魔してか見ていてトマスが可哀相になる程、昨今はつれないそぶりで…まぁ貴族の一人娘、家の事や、エブラーナの女性としては婚期を過ぎてしまってる事…あと、この国では殆どの夫婦は妻の方が年下、と言うのが気になっているのかもしれませんが。」

「かんけーねぇよ。勿体ねぇ。お互いにもらい手もないだろうが。こないだなんておめー、トマスが毒に当たったって聞いて裸足で救護棟に駆け込んできたじゃねえか!!」
「そうですなぁ。それで最早息が止まる所だったトマスを、かなり激しく揺さぶったり叩いたり挙句は台から落とすほどに振り回してくれたから、汚れた血が一気に噴き出してトマスは奇跡的に息を…カレン殿、いつもの調子は何処へ行かれたのかな?」

近衛兵隊長がからかうも、カレンはさっきから一言も返せずに、真っ赤になってうつむいている。エッジはその様子をにやにや笑いながら見ていた。
「トマス、親御さんがいい顔しねぇなら、俺からの命令でどうだ?コイツが年上?3つかそん位だろ?おめーかコイツの籍の年、書き変えちまえばいいじゃん。」
「…いえ!!…も、もし受けてくれるのなら…後は私が…い、命の恩人でもありますし、ええ。」
若き近衛兵は大きく頷いた。
「世話やけるよなぁおめーら。じゃ、決定な。」
カレンは微動だにしない。彼女から、鼻を鳴らす音がしたのに気が付いたのは、リディアだけの様だった。

「ま、そうだな。こんな話が出たからついでに言っておく。」
若干声色を変えたエッジの一言に、皆が静まり彼の方を見た。
「…って言うか、近い人間だけ集めたのは他でもねぇ…俺自身の事だ。言っておかなきゃいけないって思ってな。俺の…いや、リディアの事―――」
「エッジ…?」
リディアも手を止め、立ち上がったエッジを見上げる。こんな時、自分の話が出るとは思っていなかった。

「俺は―――まだ俺一人の希望だが、リディアを正妃に迎えたいと思っている。ただ一人の妻として。」
一同がわずかにざわめくも、それを制し言葉は続いた。
「だが…きちんとした説明もなしに、色々な事に流されこんな形になっちまった。それに今回、リディアの育ての親、まぁ地底の国の王と女王様なんだが、相当心配している様だ。俺は、これから一つ一つ片付けて行こうと思っている。」

―――え…?ちょ、ちょっと…

今度は、リディアが顔を伏せてうつむく番だった。今更、恥ずかしいと言う事は無いはずだが、皆の目が自分に向けられている。
「―――すぐに皆の望む様な答えは出せないかもしれない。お前達が喜んでくれているのは俺も嬉しい。だが、これからは焦らず見守ってくれないか?リディアにも色々事情があるのに、まず俺と一緒になってくれるか、って言う選択の自由を与える時間も無かった。そこら辺からちょっとしっかり作って行きたいんだ。」

「若様。それはまさに、我らも同じ思いでございますよ」
家老が口を開く。
「お二人のお気持ちがあってこそ、です。もしリディア様さえよろしければ、我ら忠臣一同は、エブラーナの正妃の座に座って頂きたいと思っております。」

「え、えっと…わ、私は…」
私は。
その言葉に続く、表したいものは何だろう。
「いや、リディア。まぁ今は結論いいよ。皆―――ありがとう。」
エッジは一礼をし、再び席に着いた。
「リディア。まぁこんな所だ。お前にも急ごしらえの事、色々さしちまった。これからは、まぁ…何でも話し合って決めていこうぜ。」
「…エッジ…ありがとう…」
お前の自由にとはいいながらもやはり、エッジが何を望むのかは判っている。
「ま、俺はおめーが何て言おうが離さねぇけどな。」
それを裏付ける様に、そっとエッジが耳元に囁いたのだった。


[101日目のプロポーズ 10]


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tommy
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自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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