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ちょっと待ってて下さいね…今ブログ生き返らせますので…(涙)
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目を覚ました時、エッジは既に居なかった。
最もリディアはリディアで、今日は少々思う所もあり。メモをテーブルに置くと、軽く伸びをしたのだった。

『 カレンさんとアイネさんへ。  

今日は一日、ご飯は大丈夫です。  
調べ物をしたいので、お城を色々回っていると思います。  
戻らなくても心配しないでね。  
絶対、お城から出て外に行ったりしないから

                       リディア 

                                   』

―――これで、よしと…

朝食を済ませた後、先日の女官風の服に着替え、先日の洗濯物袋にいくつかのアイテム、旅用のローブ、小ぶりの杖、少々のおやつなどを包んむ。

―――この袋、結構使えそうだな…

そのまま洗濯の女官のふりをして中庭を通り過ぎる。
誰もリディアを気に留めていない様子だった。女官用の出口に近づくが、そこには兵隊が立っている。城壁一枚なら時空魔法のワープで超えられない事も無いけど、と引き返そうとした時、後ろから声をかけられたのだった。

「ちょっと待ちなよ!!」
振り向くと、先日の洗濯部屋であった太った女官。
「あんた、何してんだいこんな所で!!!」
明らかに怪訝そうな顔をしている。しまった、と固まるリディア。
「あんたも早番だったのかい?でもさぁ…もっと上手くやれないの!?」
「へ!?」
「その袋!!どう見たっておかしいって言うんだよ!!」

女官が背負っているのは小さな籠。本当は大きい籠だが、大きな女官の背中には小さく見える。一見ゴミを外に捨てるに見えるが、下の方からほんのわずか、甘い匂いがする。よ
くみると、紙ごみに包まれた箱から、先日自分が食べた茶菓の残りが。
「あまりモンってのはこうやって持ち出すもんだよ!まぁいい、後ろついてきな。」
黙って女官の後ろに付くと、兵士はお疲れ!と声をかけ、あっさりと門を通したのだった。

「全く、あれが城の兵とはねぇ…これじゃ財宝だって持ち出せるよ。いや、これは食べ残しよ?別に盗んだ訳じゃないよ?」
それは、よく判っている。何せ自分の食べ残しだ。
「うちだってさ、将校のお家~、とか言われても、結構内情は散々なんだから…お陰で、私は一生洗濯女だ。ま、楽しいからいいんだけどね!!」
どうやら、この女官はそれなりの身分をもつ将校の妻であるらしい。

「あれ、あんた、アイネとカレンの下っ端だったよねぇ。名前は?」
「ありがとうございます!えっと…リ、リディ…いえ、リーアって言います!」
「あたしはゴモラ!!気をつけなよ!」
浅黒くたくましい腕を軽く上げ、180近くあるであろう巨体の女官は家路に着いた。その背中を見送りながらつくづく思う。

―――何だかここの女官さん、たくましい人多いなぁ…

最も、彼女は遺伝子的に逸脱したたくましさ。一体、どこの将校の奥方なのだろうか。
そして誰もいなくなってから、道の隅に手荷物を置き、旅用のローブをはおり、ロッドと鞭を腰に差した。そのまま一番近い、小さな夜間用城門へ向かう。
幸いにもまだ兵士がおり門は開けられていた。
「間もなくここは閉まるから、帰りは正面城門へ回る様に。」
兵士はリディアを一瞥し、小柄な若い娘を特に疑う様子もなく外へ出したのだった。

―――脱出、成功!!

ごめんね、エッジ。
心配をかける事は判っているが、どうにも腑に落ちない事が多い。先日馬屋であったあの男は、移動魔法で姿を消した。近くに仲間がいたのだろうか。それとも、バロンで使った魔法陣の様な物を作り出したのだろうか。
もし自分達でそんな仕掛けを作り出すなら、力を持った魔道師が数人は必要だ。数日前降り立った農村の女性が言っていた人影は、あの男の仲間だろうか。だとすれば、まずは近隣の様子を見てみたい。
相手が魔法を使っているのならば、それを察知する感覚はある。少なくともばったり出くわして危ない目に遭う事は避けられるだろう。

城壁から離れ人の居ないのを確かめると、静かに呪文を詠唱し始めた。

「―――出よ!!清き森の力を持ち大地を駆けるもの!!」
ぼんっ!!と音がして、黄色いチョコボが姿を現す。大きな瞳をくるくるっと動かし、リディアに向き直ると、その背を差し出したのだった。

が。
「まぁこれがチョコボ!!」
「初めて見た!!可愛いわね!」
「大陸に居ると聞きましたが、本当に大きいですねぇ…」

――― あ… …

チョコボはリディアの後ろに目をやり、2,3声の挨拶をする。
誰も居ないはずの後ろから、明らかに女官と魔道師の声がした。

―――振り向きたく、ないな…

「って、リディア様!!お城をお抜けになってはいけないと、エッジ様からのお達しですわよ!?」
「ご…ごめんなさい…」
カレンの大きな声に、後ろをむいたまま縮こまる。
「エッジ様が出陣かと言う時に、リディア様まで城を空けられては困ります!!」
「はい…」
一瞬、自分が城に居る理由を感じあぐねたが、城主がすわ出陣か、と言う時に外に出るなど確かに身勝手だ。
「お一人でこの様な事をするなど…何か、気になる事がおありなのでしょう?!」
「カレン、落ち着きなさいな…でも、リディア様。そう言った事は我々にお命じ下さいませ。お仕えしている意味がございませんわ。我らでは、力及ばぬかも知れませぬが…」
「そんな事ないよ!!」
振り返るリディアに、三人の顔に安堵の色が見える。
「…心配かけて、ごめんなさい…」

城の外に出るのは危険なのは判る。
でも客人とはいえそれなりの魔力を持つ身。城の中で安穏と過ごして居たくはない。優しくしてくれるエブラーナの女官や家臣、そしてあの自信家の王子様の為、あくまで客の立場を守りつつ、判らない様に行動しなければ。

―――なのになぁ…早速、見つかってしまったよ。

「リディア様。我らの力が本当に及ばぬなら、援護の者が必要です。城に残る忍者もおりますわ。とにかく、お一人で行かせる訳には参りません。」
「えっと、あのね、…魔力とかそう言った物を、調べようとしたの…ほら、あの襲ってきた人、魔道師を連れていたから、何か跡がないかな、って…」

リディアは、自分がエブラーナに来た時の事や、魔導師社会の基本的なルールの事について説明したものの、いまいち文化の違いもあり、女官たちには伝わってはいないようだった。 
カレンとアイネは、オルフェの更に判りやすい説明を聞きながら、何とか理解した様子。

「…つまり、その…移動用の魔法陣というものを作って…また城内に入る事は出来る…と言う事ですよね?」 
「なぁる。ほら、城門や城壁が邪魔だから、地下トンネル掘って潜入する様な感じかしら?それ、見て判るんですか?」 
「そのものは眼では見えないけど…空気が違うと言うか、魔力の無い人でも違和感は感じると思う。それに、いわゆる…魔力を使って焼き付けるイメージだから、結構跡が残るんだ。かなり目立つ方法だから、お城の中に直接は来ないとは思うけど…心配は心配だし。」 

―――クエッ!
 チョコボが相槌を打つ。 
「まぁ、可愛い!!」 
「乗れるのかしら。乗ってみたい…」
「2人とも、無理を言ってはいけませんよ。私もそれは、もう、とっても乗りたいですが…」

三人の目は、既にチョコボの方を向いていた。
どの道、この三人からはもう逃げられそうにない。もっとも立場的に3人は自分を力づくでは押さえられないだろうし、なら1人で外へ出させたよりも、お供した方が自然ではある。
どのみち、ばれたら大目玉は必至だけど。

「皆で行こうか…周辺を散策して、すぐ戻ろうね。」
「はい!!」
もう一匹チョコボを召喚し、二手に分かれて乗り込んだ。

成鳥のチョコボは大人2人なら軽く乗せられる。手綱をつければ早く走れるし、速さも軍馬の比ではない。行こうと思えば数時間しない内にエノールの街にも着くだろう。背に簡単な手綱を付け走り出すと、三人は初めて乗るチョコボに興奮している様だった。 
「すっごーい!ウチの甥っ子も乗せてあげたいわ!」 
「あれ、甥っ子って、おねーさんとこの子??まぁ気持ちいいわねぇ~!!飛べぇぇぇぇえ~~~!!!」 
「わ、私はこんなに早いと…想像以上です!!」 
リディアの後ろでは、オルフェが青い顔をしている。 

しばらく走り、大きな岩の前でチョコボは足を止める。 
「ここは…何か、ありますね。」 
チョコボの羽にしがみついていたオルフェが、ようやく口を開く。
「この地面の荒れ…移動が出来る位の力は溜められていたかも。嫌だな。」

チョコボから降りたアイネは、背に乗ったままのカレンを見上げる。
「ふかふか~~~あ~~気持ちいいわ…」
「ちょっとカレン…降りなさいよ…」
リディアはロッドをかざし、残った魔力を消してゆく。
オルフェは、その鮮やかな手先に息を飲んだ。
勿論彼も、中級魔法を使いこなす国内ではエッジのお墨付きの魔道師ではあるが、基本的な訓練を受けたベースが違いすぎる。

エブラーナ城周辺には幾つかの魔力跡が残されていたが、いずれも不完全な出来であと少しもすれば力を失う残骸程度の物で、誰かがワープする為に使ったとしても、もうその力は無いだろう。
昼時、四人は木陰に布と弁当を広げ、昼食を取る事にしたのだった。
「あの様な移動用の陣を作れる、と言う事は…相手は優秀な魔道師と言う事なのでしょうか?」
オルフェの問いに、リディアは一瞬首を傾げたものの、小さく振る。
「ううん…作りも荒かったし、それなりの魔道師が数人いれば出来ると思う。ただ、ああいったものははミシディアのデビルロードの応用技術だから…作り方は私も知らないんだけど…何故こんな所に…」

「一体何の為にその様な事をしたんでしょうね?こんな所にこっそりちっちゃな通路?みたいなのを掘って。馬を襲うのが本当の目的なら、ちょっと趣味悪いわ。」
カレンの言葉に、う~んと更にリディアは首をひねった。
確かに、疑問に思っていた。こんな所に魔力を溜めて仕掛けを作った理由。周辺に魔導師が移動したに間違いない。先日の城内工作の為だけだろうか?だが、鉢合わせなければ自分達に危害は無かった。
軍馬の血を抜いたのはいやがらせにしては意味がなく、たちが悪い

他に何の為に城壁の中に入ったのだろう。宝物庫に押し入ったとも聞いたが、馬を襲って物を盗んでどうするのか。あの男が内乱の関係者なら、町で行われている交渉や戦闘準備に力を入れればいいし、わざわざエブラーナ城に入り込む理由は無い。

「あのウォルシアとやらがもしエッジ様を狙ってるなら、別にエッジ様が来るかどうか判らないのに、外の街でまだるっこしい話し合いしなくても…一体何がしたいのかしら。」
「…だよね…もしこの内乱を起こしたのがあの人なら、一度城にまで入ってきたのに、隣の町で話し合うって何がしたいのかな…」

色々な意見が出るが、今ひとつ噛み合わない。
ふぅ、と息がもれる。明日はエッジに外出の許可を貰わなければ。もうこの際、護衛を引き連れる事になってもかまわない。思ったより癖のある敵だ。

「それから、リディア様。」
カレンがふと厳しい口調でリディアに向き直った。
「は、はい…」
「城の外には行きません、ってお書きになられれば、出る、と言う様な物ですわ。窓から見えて良かったわ。あわてて、後を追いまして。あれで我々の朝食が、何時も通りの時間だったら…」
それを見かけたオルフェが、2人の後を追って集まってしまった4人。
「…あなた達が朝食のプレートを持ちながら中庭を走っていたのは、その為でしたか…」
「仕方ないでしょう。でも、いいお弁当になったでしょう?」

そう言う事か、と納得。
道理で、ご飯まで持って来るなんて用意が良すぎると思ったのだ。



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tommy
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非公開
自己紹介:
FFは青春時代、2~5だけしかやっていない昭和種。プレステを買う銭がなかった為にエジリディの妄想だけが膨らんだ。が、実際の二次創作の走りはDQ4のクリアリ。現在は創作活動やゲームはほぼ休止中。オンゲの完美にはよぅ出没しているけど、基本街中に立っているだけと言うナマクラっぷりはリアルでもゲームの中も変わらない(@´ω`@)
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